2025.03.08
設計図は設計者が作成するもの。
施工者はそれを見て施工計画書や施工図を作成し、工事を行う。
設計図に不備があれば、それは当然設計者の責任だ。
従って設計者は、設計図に不備があっても自分の責任にならないような文言載せる。
と同時に、施工者が設計図にもとづいて工事を行わなければならないことをいいことに、施工者に対して無理難題とも呼べる文言を載せる。
今回は、そんな設計図に記載されるありがちなずるい文言を紹介しよう。
設計図に記載なくても空気読めよ
「設計図に記載なくても当然必要と思われる工事は施工者の負担で行うこと」
このような内容がどんな設計図にもある。
つまり設計図に記載漏れがあっても無償でやってよ、ということだ。
この解釈がどこまで適用するかも問題だが、この文言を盾にして何でもやらせようとする設計者がいる。
まったくひどい話である。
私の経験でも、設計図に記載がなくこのままでは不便だろうなと、金額は掛かるがやった方がいい工事を提案すると、その文言をチラつかせて工事はやるが、お金は払わないよと匂わせてきた設計者が何人かある。
そんなことをされると、良い提案もしにくくなるということに気づいてほしいものだ。
施工計画書ださなかったら分かっているな
「施工計画書が承認されなければ施工したあとでも壊せる」
これは施工計画書を承認したら文句は言えない、という裏返しでもある。
そのために施工計画書を提出しても、設計者なかなか承認してくれないことにつながる場合がある。
こんな自分の首をしめるような文言消せばいいと思っている。
よくあるのは、施工計画書を提出しても一向に承認してくれないことだ。
催促してもなかなか承認してくれず、いよいよ施工が始まる直前になって、大量のチェックが入って返却された時などは、さすがに切れそうになる。
変更があった場合施工する前に見積だせよ
「見積書提出、承認を経ないで行った工事は増減の対象としない」
実際の工事では細かいものを含めれば、毎日のように変更が発生している。
それを毎回、見積書を作成するとなると、見積書作成要員で専門に一人配置する必要がある。
承認する設計監理者側もそれに準ずる労力が必要だろう。
そのようなことは現実的ではない。
一番つらいのは、せっかく見積書をつくって行うことが決定したあとに、やっぱりやめたとなったときだ。
また細かい工事はともかく、大きな変更項目だけでも事前に見積を提出することがある。
しかし、設計者は提出しても見てくれず、当然承認もされずに工事を行うということが多々あるのだが、それを工事が終わってから高いだの、内容がおかしいだの言われても困ってしまう。
こういう文言を載せるのだったらせめて、しっかり承認行為を行ってもらいたいものだ。
ぶっ壊して確認することもあるよ
「品質管理上、必要と思われる場合は破壊検査を行うことがある」
これについて私は経験ないが、建築工事や土木工事では結構あるらしい。
アスファルト道路などで、たまに穴が開いていることを目にするが、それなどが破壊検査の跡らしい。
もし仮に設備工事で、例えば梁スリーブの補強状況を確認するために水斫りしてなどといわれたら、梁の破壊検査を行う前に、私の心が破壊されてしまうだろう。
いずれの文言も設計者の立場を守るためのものであることは理解できる。
しかし、設計者の立場を守るより、使いやすい建物、いい品質の建物を建てることが優先されるべきであろう。
発注者の利益、施工のしやすさを優先して設計図を描いてほしいと切に願うばかりである。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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