新築マンション現場におけるパンフレットというバイブル
- アルノ
- 2024年5月25日
- 読了時間: 4分
2024.05.25
マンション価格の高騰が止まらない。
中国の不動産バブルははじけたし、中国富裕層が日本から撤退することも予想されることから、このバブル状態がいつまでも続くとは思えない。
が、とにかく今現在はマンションの売れ行きは好調の様である。
ゼネコンはマンションを建てる側なので、その際の注意事項がいくつかある。
そのなかでも、ディベロッパーが購入者に提示するパンフレットは、絶大な影響力があるのでその点について述べていきたい。
パンフレットの位置づけ
マンション購入者は、パンフレットやモデルルームを見て購入を検討し、決定する人が多い。
従ってパンフレットはディベロッパーと購入者にとって契約書に準ずるものともいえる存在だ。
仮にパンフレットと実際の建物が異なっていた場合、購入者に「パンフレットにはこう描かれていますよ」と言われた場合、建物の方を直さなくてはならなくなる。
言い換えると、新築マンションにとってパンフレットは絶対なのだ。
特にマンション販売員にとってパンフレットはバイブルにも等しい。
施工図よりパンフレットの方が大切であることから、施工図を作成する際にパンフレットとの整合性チェックは必須である。
モデルルームという存在
マンション購入者がもう一つ大きく参考にするものがモデルルームだ。
モデルルームの雰囲気を見て購入を決めるという人も少なくない。
パンフレットに表現されてなくても、モデルルームにある場合は、モデルルームが大きな効力を発揮し、モデルルームと建物が異なっていた場合には、やはり建物の方を直さなくてなはならなくなる。
注意しなくてはならないのは、パンフレットとモデルルームの両方で異なる表現がされていた場合だ。
この場合、ディベロッパーでどっちを優先すべきか紛糾してしまう場合が多々あるので、彼らもモデルルームを建てるときは、慎重に仕様を確認する。
両者と他の要素の優先順位
他にもディベロッパーで作成している社内仕様書というものがある。
基本的にパンフレットやモデルルームはその仕様書に則ってつくられるが、いざそれらができてしまえば、前述の両者が優先される。
それはつまり、購入者が何をみて契約をしているかという点に重きを置くからだ。
そう考えると、施工者が作成する施工図などは優先度としては極めて低い。
購入者にとって施工図は、なんの関係ないからだ。
従って、新築マンション現場における優先順位は下記のようになる。
①パンフ
①モデルルーム
②ディベロッパー仕様書
③施工図
現場の都合も考えてほしい
しかしながら施工図を作成していて、どうしてもパンフレット通り、モデルルーム通りにならない時もある。
現場が納まらない場合だ。
この時は、きわめて慎重な対応が必要だ。
契約書に準ずる扱いであるパンフレットやモデルルームと矛盾が生じないように納めるにはどうすればいいか。
この観点からディベロッパーと協議し、どのように納めるべきか、ミリ単位での検討の上、決定することとなる。
パンフレット作製時の苦労
そのパンフレットの作成においては、ゼネコンが現場に乗り込んだ時にすでにできあがっている場合もあるが、多くの場合、着工後にゼネコンも一緒にパンフレット内容をチェック、確認する。
前者の場合は、パンフレットの内容に不具合がっても責任がないのでまだ気が楽だが、後者の場合は一緒に作りあげるので不具合があった場合にその責任の一端を求められるので、必死になってチェックしなくてはならない。
そして悲しいことに、その大変で責任の大きいチェック、確認作業の費用は多くの場合無償である。
はっきりいって携わりたくないというのが本音だが、逆にディベロッパーの立場からしたらゼネコンが関わった方がいいに決まっている。
新築マンションを担当すると、ことあるごとに「パンフはどうなっている?」という言葉が飛び交う。
定例会議の議題において、質疑をあげる時、納まりに困った時、など、毎日のようにそれを耳にする。
それくらい優先されるのがパンフレットなのだ。
そのため自分のパンフレットを擦り切れるくらい読み込むことになり、竣工時にはボロボロになっている。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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