2024.05.04
自分の健康や金銭的問題、はたまた工事現場や会社での仕事でも、人は生きていればさまざまな問題に直面する。
従って、次々に起こってくる問題に対し、それにどう向き合い対処するかは人生において非常に重要になってくる。
どう対処するか、その際に気を付けなければならない点がある。
その点に着目して、このブログを進めたい。
血圧が高い、どうする?
まずは誰もが経験する健康問題から一つ例を挙げよう。
年齢が重なってくると多くの人は、血圧が上がってくる。
血圧が上がると様々な病気につながることから、安易に薬にたよって血圧を下げがちだ。
これは血圧が高いという現象に対する対症療法だ。
しかし人の身体はなぜ、血圧を上げようとしているのだろうか。
血液が細部まで届きにくいから血圧を上げているのだろう。
つまり、根本の問題解決は血圧を下げることではなく、血液が毛細血管まで届く状態に戻すことだ。
塩分を控える、肥満を解消する、食生活を改善する、運動をする等、人によってそれは違うだろう。
この根本問題を解決すれば自然に血圧は下がるはずだ。
根本療法なしに、薬による血圧低下という対症療法だけを行っていれば、問題を先延ばししているだけではなく、手足の毛細血管や脳にも血液が届きにくい状況が続き、かえって弊害が出てしまいかねない。
つまり、対症療法によって症状を緩和されるとともに根本療法を行うことが大切なのだ。
フロントローディングってなに?
次に建設現場における問題について。
昨今、建設現場では働き方改革による残業規制や人手不足の対策として、BIMによるフロントローディングが叫ばれている。
その大きな目的は、上記問題を解決する為に設計者、施工者、作業員の山積みを平滑化することだろう。
鹿島建設などは、BIMによる着工前仮想竣工をうたっているほどだ。
しかし、いくらBIMによるフロントローディングを試みようとしても、施主側に「工事前なら変更が可能だ」という意識がある限り、それは徒労になりかねない。
せっかく労力を設計段階に前倒ししたにも関わらす、工事に着手するまで変更、変更では労力が減るばかりか増えてしまうことになる。
つまり対症療法としてBIMを推進するとともに、根本療法として施主の意識改革が必須であるというわけだ。
4週8閉所?夢物語だな
フロントとーディングの他に働き方改革による残業規制への大きな試みの一つとして工事現場の4週8閉所がある。
しかしながらそれは、特に民間工事においては、なかなか難しい。
なぜなら施主にとっては、それは工場にしても、店舗にしても、事務所ビルにしても、事業開始が1日遅れれば何百万、何千万、場合によっては何億と売り上げが減ってしまうからだ。
それを4週8閉所だから工期が2カ月延びますと言われても、いい返事をする施主はなかなかいない。
長期的に考えて、十数年後に建設業界が衰退した時の自社の事業への損失を考えれば施主も賛同するべきなのだろうが、数年後の目先の利益を考えたら、そこまで考慮してくれる施主はなかなかいない。
またゼネコンの立場から4週8閉所を考えると、いくら現場所長にそれの順守を連呼しても工程をそれだけ詰めるのは至難の業であることから、その前段階として、営業に対して仕事を取る際にそれを徹底するようにするのが正しい方途といえよう。
つまり4週8閉所を実現しようとしたら、その根本療法は施主の意識改革、ゼネコン営業担当の意識改革と言えるのではないだろうか。
思考の方法を知ろう
以上の例からも分かるように、問題が起きた時に我々は得てして対症療法を考えがちだ。
それは大切なのだが、それだけではまた同じ問題が起きてしまう。
同じ失敗を繰り返すほど無駄なことはない。
対症療法を確実に進めると共に、問題の根がどこにあるかを知り、根本療法にも取り組むことが大切だ。
その両者があってはじめて問題の解決と言えるだろう。
今回は問題が起きた時の対処においける注意点について言及した。
何かをしていれば、必ず問題や失敗は必ずおこるものだ。
しかし、それを恐れてはいけない。
大切なのは、それを二度と起こさないためにはどうするかを考え、実行することだ。
「失敗や挫折をしたことがない人とは、なにも新しいことに挑戦したことがない人だ」とはアインシュタインの至言である。
対症療法、根本療法の2点を意識しながら、失敗をおそれず、挑戦し続ける人生でありたいものだ。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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