2024.01.27
令和3年度に大きな変更があった施工管理技術検定制度が、令和6年度にも変更されることになった。
国土交通省の通知を見てもなかなか分かりにくい点があるので、受検する方がなるべく分かりやすいように解説してみる。
変更点の概要
変更点の概要は大きく次の3点となる。
・受検資格に関する変更
・実務経験の解釈関する変更
(・第一次検定試験一部免除に関する変更)⇒令和11年度以降の予定
それぞれについて詳しくみていこう。
受検資格に関する変更
今までは受検資格について、第一次検定、第二次検定共に実務経験が複雑に関係していたため、果たして自分がどれに該当するのかを見極めるのに一苦労だった。
例えば1級を受検するには指定学科の大学を卒業してのち実務経験3年以上がなければ受検できない、といった具合だった。
それが今回の変更により次のようになった。
※1級施工管理技士第一次検定の受検資格
①受検年度末時点で19歳以上
※1級施工管理技士第二次検定の受検資格
1級第一次検定試験合格後
①実務経験5年以上(2級保持者の場合2級合格後)
②特定実務経験※1年以上を含む実務経験3年以上(2級保持者の場合2級合格後)
③監理技術者補佐※として実務経験1年以上
※2級施工管理技士第一次検定の受検資格
①受検年度末時点で17歳以上(旧制度と変わらず)
※2級施工管理技士第二次検定の受検資格
2級第一次検定合格後
①実務経験3年以上
1級第一次検定合格後
①実務経験1年以上
つまり、第一次検定における指定学科卒業及び実務経験という概念がなくたったというわけだ。
たとえ文系の学校であっても1級は19歳、2級は17歳から受検できるようになったと考えれば分かりやすい。
また、技術士、1級建築士、第一種電気工事士等の資格保持者は別条件でも第二次検定の受検資格を有することができるので調べてみてほしい。
※1級第二次検定における「特定実務経験」とは、請負金額 4,500 万円(建築一式工事は 7,000 万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験のことを言う。
※監理技術者補佐とは現場を兼務する特定監理技術者のもと専任で配置される監理技術者のことを言う。
実務経験の解釈に関する変更
旧来は実務経験に該当する工事の項目は、自己申告に近い部分も少なからずあった。
また複数の施工管理技士を受検するにあたって同じ工事をそれぞれに実務経験年数として計上してはいけなかった。
それが実務経験に該当する工種を明確化すると共に、工種によっては、1級土木工事、1級建築工事等を受検するにあたり、同じ工事を実務経験年数として計上することができるようになった。
例えば表において、ある工事で「とび工事」の工事管理を経験した場合、1級建設機械施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士等複数の受検時において、第二次検定を受けるための経験年数として計上してよいということだ。
また、経験年数として計上できる工事内容が表のように明確になったともいえるだろう。
第一次検定試験一部免除について
これについては令和11年度以降の検定についてとなるので、当面は関連しないが、土木工学や建築工学などの高校や大学の卒業者における一定の単位取得者に対して、第一次検定の一部が免除される予定とのことだ。
しかしながら、現時点では検討中とのことなので、今後の詳細発表を待ちたい。
今回は、令和6年度の施工管理技士技術検定の制度変更について解説した。
変更の一番大きな点は受検資格の指定学科という縛りが排除され、1級施工管理技士の第一次検定は19歳以上なら誰でも受検できるようになったことだろう。
つまり、1級施工管理技士補にはだれでもなれるというわけだ。
注意しなければいけないのは、1級施工管理技士補ではなく、第二次検定合格者に与えられる1級施工管理技士を目指すなら、実務経験が必要となるため、自分の今の業務が実務経験に該当するかどうかをよく見極める必要があると言える点だ。
いずれにしても令和3年度及び令和6年度の変更内容を見ると建設業の人材不足により、施工管理技士の門戸を大きく広げようという業界全体の流れがあるようだ。
この変更を期に、一人でも多くの施工管理技士が誕生し、建設業全体が持続可能な発展を遂げられるようになることに期待したい。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
Comments