2023.04.01
令和3年度に施工管理技士の制度の改正があり、それに伴い施工管理技士試験のもいくつかの改正があった。
大きなところでは第一次検定試験に足切り問題ができたなどがある。
その変わったばかりの施工管理技士制度がまた改正されるとのこと。
今回はどのように改正されるかを確認していく。
改正の背景と改正のスケジュール
令和4年10月付の国土交通省不動産・建設経済局から発表された「建設業法施行令の一部を改正する政令について(概要)」による改正の背景は「少子高齢化に伴う全産業的な労働力人口の減少が進む中、建設業においても、限りある人材の有効活用を図りつつ、将来にわたる中長期的な担い手の確保及び育成を図ることが急務となっている」とある。
令和3年度の改正とほぼ同じ理由であることから、前回の改正の延長という位置づけといえよう。
建設業界における少子化、労働者不足、技術者不足の加速がよくみてとれる。
改正のスケジュールとしては2段階となっており、一段階目は令和5年1月1日、つまりすでに施行されており、二段階目は令和6年4月1日の予定である。
要求金額の引き上げ
では、具体的な改正内容を確認してみよう。
施工管理技士試験と直接はかかわらないが、建設業ではある一定の金額以上の工事を請け負う時、建設業の許可、主任技術者または監理技術者の専任が必要となる。
その必要となる金額が引きあがった、つまり必要のない金額が引きあがったという内容だ。具体的には以下の3点となる。
・ 特定建設業の許可、監理技術者の配置及び施工体制台帳の作成を要する下請代金額について、現行の 4000 万円(建築一式工事の場合は 6000 万円)を 4500万円(建築一式工事の場合は 7000 万円)に引き上げる。
・ 主任技術者又は監理技術者の専任を要する請負代金額について、現行の 3500万円(建築一式工事の場合は 7000 万円)を 4000 万円(建築一式工事の場合は8000 万円)に引き上げる。
・ 下請負人の主任技術者の配置を不要とすることができる特定専門工事の下請代金額の上限について、現行の 3500 万円を 4000 万円に引き上げる。
これらは、令和5年1月1日にすでに施行されている内容である。
技術検定の受検資格の見直し
次に、1級および2級施工管理技士の受験資格が以下のように緩和される。
1級施工管理技士
第一次検定試験は学歴ごとに卒業後一定の実務経験(例えば、指定学科大学卒だと卒業後実務経験3年等)が必要だったが、改正後は学歴に関係なく19歳以上(専門性の高い大学課程履修者は一部科目を免除、詳細は次の項)となる。
第二次検定試験も従来は第一次検定試験と同じ内容の実務経験が必要だったが、改正後は1級技士補として監理技術者等の指導での実務経験3年など(但し、2級合格者の受験資格である合格後5年の実務は従前どおり)となる。
2級施工管理技士
第一次検定試験は17歳以上だったが、改正後はそれに加え、専門性の高い学校課程履修者は一部学科を免除(詳細は次の項)となる。
第二次検定試験は学歴ごとに卒業後一定の実務経験(例えば、指定学科大学卒だと卒業後実務経験3年等)が必要だったが、改正後は学歴に関係なく2級技士補としての実務経験3年(1級技士補は1年)となる。
これらは、令和6年1月1日に施行されている予定の内容である。
第一次検定の一部免除制度の創設
最後に、大学、高等専門学校、高等学校若しくは中等教育学校において国土交通大臣が定める学科を修めて卒業した者又は国土交通大臣がこれらの者と同等以上の知識を有するものと認定した者については、申請により、第一次検定の一部で国土交通大臣が定めるものを免除することができることとする、としている。
つまり、一部の受験者については第一次検定試験の一部を免除するというものだ。
ただし具体的にどのような免除制度となるか、その内容については現時点で発表されておらず、詳細は今後告示で規定する予定となっている。
これも、令和6年1月1日に施行されている予定の内容である。
以上の3点が改正となっている、もしくは改正になる。
それらを受けて、技術検定制度の見直しについては、令和6年4月1日より施行されるとのことなので、改正にともなう見直し内容が、令和6年度の試験から採用されるのかそれとも令和7年度の試験から採用されるのかは注視していきたいところである。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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