2021.01.23
令和3年度に施工管理技士を受験する方に大事なお知らせ。
なんと施工管理技士の受験制度が様々、変更になるとの事。
そこで今回は、その変更点を確認していきたいと思う。
本当は、詳しい変更点をサイトに記載した方がいいとも思ったのだが、長文になるのでサイトでは変更箇所の一覧表のみとし、詳細の説明はこちらとした。
さて、変更点に関して試験内容も様々変わるのだが、なにせ令和3年度からなので実績がない。
そこで、国土交通省発表内容をまとめたものをもとに確認したいと思う。
試験名称の変更
まず、試験の名称が変更になる。
従来の「学科試験」が「第一次検定」、
従来の「実地試験」が「第二次検定」という名称に。
当然、旧名称で親しんでいるのでしばらく慣れるまでは、違和感を覚えてしまうが、こればかりは、慣れるしかない。
尚、ここからは「第一次検定」「第二次検定」という新名称で記載する事ととする。
第一次検定合格の有効年数
旧制度では学科試験に合格し、実地試験に不合格だった場合、翌年に関してのみ学科試験は免除され、実地試験を受験する事ができた。
つまり、学科試験合格の有効年数は1年だったわけだ。
新制度からは第一次検定に合格し、第二次検定に不合格だった場合、翌年どころかいつまでも第一次検定は免除となる。
つまり第一次検定合格の有効年数は無期限という事だ。
極端な事を言うと、第一次検定に合格し、しばらくほうっておいて10年後に突然、第二次検定から受験するという事も可能になったわけだ。
また、第一次検定に一度、合格すればその後、第二次検定を何度不合格になっても、カド番という概念がなくなったので、第二次検定だけ受かるまで何度も挑戦すればいい。
これは、うれしい変更だ。
1級施工管理技士の第一次検定の受験資格
1級施工管理技士の「学科試験」の受験資格は実務経験年数等、一定の条件を満たしてはじめて受験する事ができた。
新制度では、それらの受験資格に加え、2級施工管理技士合格者は経験年数を問わず、1級施工管理技士の第一次検定を受験する事が可能となった。
但しその場合、第一次検定に合格した後に第二次検定を受験する際には、経験年数を経ていなければならないので注意が必要。
ちなみに2級の第一次検定の受験資格に変更なく、その年度中における年齢が17歳以上になればいいので高校2年生から受験できるのは従来通り。
2級の第二次検定が指定学科の高卒で3年以上の実務経験が必要なのも従来の通りだ。
試験内容
試験内容にも変更がある。
具体的な問題の内容まではさすがに分からないが、発表されている内容は以下となる。
各試験によって若干異なるので以下、確認してほしい。
ここでは、1級に関してのみ記載する。
・1級建築施工管理技士
第一次検定は旧「学科試験」の内容に加え、旧「実地試験」で求めていた施工管理法の能力問題を追加(マークシート五肢二択)。
第二次検定は旧「記述試験」に施工管理法の知識の選択問題あり(マークシート五肢一択)。
・1級電気工事施工管理技士
第一次検定は旧「学科試験」の内容に加え、旧「実地試験」で求めていた施工管理法の能力問題を追加(マークシート五肢一択)。
第二次検定は旧「記述試験」に施工管理法の知識の選択問題あり(マークシート五肢一択)。
・1級土木施工管理技士、1級管工事施工管理技士、1級電気通信工事施工管理技士
第一次検定は旧「学科試験」の内容に加え、旧「実地試験」で求めていた施工管理法に能力問題を追加(マークシート)。
第二次検定は旧「記述試験」に施工管理法の知識の記述問題あり。
第一次検定でも、旧「実地試験」で問われた施工管理法が能力問題として追加になるという事だ。
合格基準
第一次検定で施工管理法の能力問題が組み込まれたことにより、合格基準も若干変更になった。
各試験によって若干異なるので、確認の事。
・1級建築施工管理技士
第一検定全体の正答率60%以上 更にその内の施工管理法能力問題も60%
・1級電気工事施工管理技士
第一検定全体の正答率60%以上 更にその内の施工管理法能力問題も50%
・1級土木施工管理技士
第一検定全体の正答率60%以上 更にその内の施工管理法能力問題も60%
・1級管工事施工管理技士
第一検定全体の正答率60%以上 更にその内の施工管理法能力問題も50%
・1級電気通信工事施工管理技士
第一検定全体の正答率60%以上 更にその内の施工管理法能力問題も40%
なお、第二次検定に関しては「旧実地試験」の時と同様、全体の正答率60%となっている。
第一次検定不合格者への通知
第一次検定の合格率の変更にともない、不合格者への通知が変更になる。
旧「学科試験」では「〇〇問正解」という通知だった。
第一次検定においても全体の60%に満たない場合は従来と同じ「〇〇問正解」という通知となる。
但し、第一次検定全体で60%を満たした場合でも施工管理法能力問題が合格基準に満たない場合には、「施工管理法(膿瘍能力)の得点が合格基準未満のため不合格」という通知になる。
尚、第二次検定不合格者への通知は旧「実地試験」と同じく以下の通り。
【評定】
A:合格(合格基準以上)
B:得点が 40%以上合格基準未満
C:得点が 40%未満
受験料
こちらは、悲しい変更点。
受験料が電気通信工事施工管理技士を除き値上げとなる。
電気通信工事施工管理技士はもともと割高だったので、その辺はなんとも・・・。
各種1級施工管理技士の受験料は以下のようになる。
・1級建築施工管理技士
「学科試験」「実地試験」共 9,400円から第一次検定、第二次検定共10,800円。
・1級電気工事施工管理技士
「学科試験」「実地試験」共11,800円から第一次検定、第二次検定共13,200円。
・1級土木施工管理技士
「学科試験」「実地試験」共 8,200円から第一次検定、第二次検定共10,500円。
・1級管工事施工管理技士
「学科試験」「実地試験」共 8,500円から第一次検定、第二次検定共10,500円。
・1級電気通信工事施工管理技士
「学科試験」「実地試験」共13,000円は第一次検定、第二次検定共13,000円のまま。
合格者への付与資格
合格者への付与資格に対する変更がある。
実は今回の変更は、このためと言ってもいいのかもしれない。
大きな変更点として第一検定の合格者に「技士補」という資格が付与される事となる。
第二次検定の合格者に「技士」が付与されるという点で変更はない。
いままでは「学科試験」に合格しても付与される資格はなかったので、受験者にとってモチベーションアップになるのではないだろうか。
逆に第一次検定の合格し、第二次検定に不合格になった方が、技士補になれたからいいやと第二次検定の再挑戦をあきらめてしまわないかが心配なところでもある。
技士及び技士補がなれる工事上の職責
最後に工事上の職責の変更について。
前述しました通り、第一次検定合格者には技士補の資格が付与されることになったのですが、それにより何が変わるのだろうか。
実はその事により、工事上の職責も与えられる事になるのだ。
その内容は「主任技術者の要件を有する者のうち、1級の技士補の資格を持つ者」は監理技術者補佐になれるというもの。
では、監理技術者補佐とはなにか。
実はもう一つ工事上の職責で変更点がある。
それは、技士が従来の監理技術者に加え、特例監理技術者にもなれる事になった、というものだ。
監理技術者補佐と特例監理技術者の両者は密接にかかわりがある。
従来、監理技術者はほとんどの場合において専任が原則だったが、監理技術者補佐がいる現場に限り2現場まで特例監理技術者として兼務できるというものだ。
第一次検定合格者である技士補はその監理技術者補佐になる事ができる。
工事現場において責任ある職責につけるようになったという事だ。
2級の技士補に関しては、特別な職責が与えられるとうの情報はないようだ。
ぜひ技士を取得し、主任技術者の職責を目指してほしい。
以上が、令和3年度1級施工管理技士の変更点だ。
試験制度は変更箇所があるが、難易度が特段に難しくなる等の情報はない。
ぜひ、積極的に施工管理技士の取得をめざそう。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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