2023.11.18
現場監督は、激務であり、長時間労働である。
新国立競技場の建設ではスーパーゼネコンの若手社員が精神的に追い込まれ、自死に至ったことが大々的に報じられた。
新国立競技場という注目の現場だっただけに大きく報じられたかが、それ以外にも自死に追い込まれた現場監督は数多くいるし、そこまででなくても精神的に追い込まれた人は数しれないほどだ。
今は働き方改革が進められているため減ってきていると思われるが、昔は本当にひどかった。
私の周りでも、そういったケースがいくつか見受けられた。
人は追い込まれるとどういう心理状態になるか。
今、つらい状況にいる人は、そうならないよう参考にしてほしい。
なぜ電車に飛び込むのか
ゼネコンに入社して2年目の時、先輩から同僚の話を聞いた。
先輩の同僚は、あまりの激務で正常な思考ができなくなり、否それどころか思考自体ができなくなってしまうような日々となっていた。
ある日現場に向かう途中駅のホームで、本人はそんなつもりはなかったのに、電車が来るとまるで電車に吸い込まれるように飛び込みそうになった。
間一髪、正気を取り戻したそうだが、思考が停止するとそのような現象がおきるらしい。
先輩は話を続けた。
なぜ、そこまで追い込まれるのか。
そうなる前に、会社を辞めればいいのではないか。
そう思うかもしれないが、思考ができなくなっている状況では、会社を辞めるという考えすらおきないらしい。
激務というものは、人間をそこまで追い詰めるものなのだ。
自分の限界を知ろう
そこまで追い込まれてからでは、一つ間違えれば取返しのつかないことになりかねない。
そのためには自分の限界を事前に知り、限界近くになりそうな時に察知して、限界になる前に対策を打つ必要がある。
つまり、まずは自分の限界を知ることが大切なのだ。
参考に私の場合は以下のようになる。
・夢に仕事のことが出てきたら第一段階
・夜中に起きて、次の日に行うことのメモ書きするようになったら第二段階
・日中常にボーとして仕事に手が付かなくなったら最終段階
これは人によって症状が違うと思われるので自分における限界の信号を知ることが大切である。
ちなみに私は20代の時、自分の限界を知らず、20代後半は常にボーとしていた。
つまり限界の症状のまま数年間を過ごしていたことになる。
今考えると、いつ取返しのつかないことになってもおかしくない状態だったのかもしれない。
恐ろしいことだ。
心を鍛えよう
ある人が、人間には心が強い弱いという区別はないと言っていたが、私はその考えに同意しない。
身体が強い人、弱い人がいるように、心のつよい人、弱い人がいるのは自明である。
また、ジョギングや筋トレなどにより体が鍛えられるように、心も鍛えられると考える。
したがって仕事が大変な時、嫌な事、つらい事から逃げることも大切だが、普段から心を鍛えることが大切だ。
では、どのようにすれば鍛えられるのだろうか。
それは一見矛盾するかもしれないが、ストレスフルの状況を多く経験することだ。
私で言えば、新入社員の時、激務、長時間労働、そして仕事ができない不甲斐なさ、からこれ以上ないつらい1年間を過ごした。
しかし、その経験が自分の宝の財産になっている。
「あの大変な状況を乗り越えたのだから、今回も乗り越えられる」という心の支えとなっているのだ。
ストレスフルによって心が壊れたら本末転倒だが、ストレスフルによって心が鍛えられるということもまた事実だ。
それはあたかも筋トレによって筋肉に負荷を与えるかのように。
ストレスから逃げてばかりでは、いつまでたっても心を鍛えることはできない。
昨今の「つらかったら逃げていい」という風潮に私は必ずしも全面的に同意はできない。
心の疲れを取ろう
心を鍛えると共に、もう一つ大切なことがある。
それは心の疲れを取ることだ。
随時、心の疲れを取れば、ストレスに対する許容が増える。
筋肉が筋トレ後、筋肉を休ませることによって筋肥大がおこることに似ているかもしれない。
私がおすすめする疲れを取る方法は以下だ。
・長時間、浴槽に浸かる
・十分な睡眠
・適度な運動
・自分なりのストレス解消(趣味など)
おすすめできないのは、暴飲暴食、特にアルコール摂取だ。
アルコールは一見寝つきがよくなるように感じるが、深い睡眠の妨げになるので実は逆効果だからだ。
毎日、リフレッシュしてストレスと戦える十分な準備をすることが大切だ。
昨今のストレス社会にあって、ストレスと立ち向かい、向かい合い、そして付き合うことができなければ、充実した生活や仕事における高度なパフォーマンスを発揮することはできない。
私の経験が少しでも参考になれば、幸いである。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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