2023.02.04
現場監督はコミュニケーション力が高いとはよく言われる。
しかし、それは表面上のコミュニケーションであり、深い意味のそれではない。
コミュニケーション能力を一歩深く追求した時、現場監督が考えているようなものでは足りない深い考え方がある。
今回は、コミュニケーションの達人が考える本当のコミュニケーション能力というものを質問と報告という項目に絞って述べてみよう。
一般的なコミュニケーション能力
初対面の人とすぐに親しくなれる。
職人さんと仲良くなり、打ち合わせもスムーズに進められる。
一般的にコミュニケーション能力と言われるとイメージするものはこのようなものだろうか。
これらは生まれ持った天性の部分も大きいが、経験を重ねることにより、ある程度身に付けることもできる。
それはそれで大切なのだが、仕事を効率よく勧める、自身の成長を促すことを考えたとき、これらの一般的に言われるコミュニケーション能力は役に立たないどころか、かえって足かせになる。
これから話す、コミュニケーション能力は完全に後天的なものでありスキルである。
そういう意味では誰もが身に付けることができるものなのでぜひ身に付けたい。
質問の種類
会議体などにおいて質問をする場面がある。
その場合の質問には質問者の意図により3種類ある。
①分からない事を聞く質問
②相手を困らせる為の質問
③みんなが聞きたいであろう内容を聞く質問
①はいたって一般的な質問なので説明は不要であろう。
②は悪意の塊であり論外だが、悲しいかなよく見られる光景である。
③はその会議体の進行を助ける役割をする大切にして重要な質問だ。
話しは飛ぶが仏教のあらゆるお経の内容は、お釈迦様の弟子が師匠であるお釈迦様への質問をし、それに対して答える形式だ。
つまり、お釈迦様の弟子が一般大衆それもその時代だけでなく、後世の一般大衆までもが聞きたいであろう内容を師匠に質問することによってお釈迦様の説法を助けているのだ。
まさに弟子は高次元で③を実践しているのである。
会議体を助ける③の姿勢を心がけたいものだ。
質問する時の姿勢
姿勢とは直立不動で質問をするなどの身体的な姿勢ではない。
心構えと質問の内容だ。
仕事をする上で質問する相手は、上司や取引先などが多いだろうか、彼らが極力時間をかけないで回答できるような質問をすることが大切だ。
やってはいけない質問の典型は以下だ。
「どうすればいいですか?」
上司や取引先に回答を一から考えさせるような質問は愚の骨頂だ。
しかしながらこのような質問の仕方が一般的なのは悲しいことだ。
だが、裏を返せば理想の質問ができれば周囲の同僚などから頭一つ抜け出せるとも言える。
理想的な質問の方法は以下だ。
「このように行いたいのですが、よろしいでしょうか?」
あるいは
「このような考えで、よろしいでしょうか」
イエスorノーで答えられるように質問することが基本だ。
これは相手にとっても助かるが、事前に自分の考えをまとめ、答えを導き出すという行為により自分自身のスキルアップにもなる。
このような質問する姿勢をクセにしよう。
報告する時の注意
上司などに報告をする時や上司から報告を求められた時には報告の方法にスキルが必要だ。
よく陥りがちなのは、言いたいことを言って報告した気になるという状態。
特に悪い報告の時などは、言い訳に終始して報告になってない報告をする。
上司「今週提出する書類はできているか?」
部下「今、作成しておりまして、あとはメーカーの報告が来ると完成します」
一見すると良さそうな報告であり、ありがちな会話でもある。
しかしながら書類が完成していないことはかろうじて分かるものの、いつ完成するかも分からず上司のイライラはマックスだ。
報告する時には事実と意見を意識して区分け、事実⇒意見の順番で話すようにしよう。
上司「今週提出する書類はできているか?」
部下「まだできておりません、メーカーの報告を待って明日中にできる予定です。」
といった具合だ。
報告の順番
また、報告には順番がある。
結論⇒理由の順番に報告すると非常に分かりやすい。
前述のやりとりをもう一度見てみる。
上司「今週提出する書類はできているか?」
部下「まだできておりません、メーカーの報告を待って明日中にできる予定です。」
結論から述べており、理由を補足している。
報告には事実⇒意見と結論⇒理由の2点を意識するようにしよう。
いかがだろうか。
質問と報告に焦点をしぼって話をすすめたが、基本は「相手が聞きたいことを想像しながら話す」という姿勢だ。
どんな時も相手の気持ちを考えて話せば自ずとコミュニケーション能力は高まる。
パワハラ現場監督にありがちな「そんなことも分からないのか!」「まだやってないのか!」なとどいう暴言は決して言わないようにしよう。
それはコミュニケーション能力と対極にあるものだ。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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