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  • 執筆者の写真アルノ

工事現場写真SNSへのアップロードの可否

2022.12.03

工事現場の写真は施主やゼネコンにとって情報セキュリティ上の最重要管理項目に位置付けられていることが多い。


特に近年はスマートホンで気軽に現場内の写真を撮ることができ、LINE、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSに簡単にアップできる。


実際にTwitterを見ていると、工事現場の写真についての投稿が多くみられる。


これは由々しき問題だ。


気軽にアップロードしたことにより大事に至る事例も実際に起こっているからだ。


以前このことをSNS上で問題提起したところ、賛否を含め大きな反響があった。


そこで今回は、工事写真のSNSへのアップ、この可否について考えてみた。



現場写真をアップロードしたことが判明した例

ある現場で、現場写真がアップされていたことがディベロッパーによって発見され、ゼネコンが厳重注意を受けた。


ディベロッパーは写真の内容、および情報管理の杜撰さが世間に知れることにより、建物の価値が下がり、さらには自社の企業価値にも影響があるととらえたようだ。


ゼネコンはアップした個人を特定することはできなかったものの、現場写真が工事関係者しか入れなかった場所から撮影されたものであり、重大事案として認識し、ディベロッパーに謝罪の上、再発防止に努めた。


別のある現場ではSNSにアップした作業員が特定され、所属している会社はそのゼネコンとの取引停止となり、アップした作業員は責任を取ることになり、会社を解雇された。


本人は「現場が特定されなければ問題ないと思っていた」と話していたそうだ。


よくSNS上でも私は現場が特定されないよう十分に気を付けているから大丈夫との投稿がみられるが、そういう問題ではないようである。


上記の例では実際に特定されてしまっているし、大丈夫との判断はあくまでも個人のものであるのでそのような意見が通るわけがない。



どのような写真もアップロードしてはいけないのか


「現場が特定されなければいい」

「工事中だが外観写真ならいい」

「違法な施工をしている等の暴露写真ならアップするべき」


というような意見もあるが全てにおいてアップしていいことの理由にはならないであろう。


施主もゼネコンも情報管理上禁止しており、新規入場者教育で情報漏洩をしない旨の誓約にサインをしているならなおさらだ。


問題ないと思った写真も見る人が見たら現場を特定されたり、重要な機密情報が映っていたりしないとも限らないし、その場合の損害賠償請求も十分に考えられる。


暴露写真ならいいという意見については、SNS以外で行うべきであろう。


その写真に機密情報がないとも限らない。


弁護士や労働基準監督署などしかるべきところに相談するべきではないだろうか。



アップロードが許される場合はあるのか

ではアップが許される場合はあるのだろうか。


おそらく作業員がアップできる機会はほとんどないだろう。


できるのは施主とゼネコンの両者が許可した場合、例えば施主自身が工事の進捗を対外的アピールの為に開示するというような場合である。


ゼネコンがアップする場合も当然施主に許可を得て行うことになる。


また完成した建物の外観であれば、商用目的でなければ景色と同様に扱われ大丈夫のようであるが個人住宅を撮影する場合は十分な注意が必要と思われる。



日本建設業連合会(日建連)の運動

大手ゼネコンの団体である日建連でも情報セキュリティに関する運動をしており、アピール動画やポスターを開示している(以下リンク参照)。


それだけ多くのゼネコンが真剣に取り組み、神経質になっているという証左ともいえるだろう。




いずれにしても工事現場の写真をアップすることは厳に慎みたい。


その写真ひとつで会社に迷惑をかけると共に、自分自身も会社を解雇され、さらには損害賠償を請求され家族が露頭に迷うことさえ考えられるのだから。


その写真一枚をアップするという行為にそれ以上の価値があるというのなら別だが。


もし今まで、安易にアップしれたならばぜひ、ことの重大性と危険性を考え直してほしいものである。






 

この記事はこの人が書いています。


施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。



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