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  • 執筆者の写真アルノ

無理して現場監督を続けた人の末路3例

2022.10.01

現場監督は過酷である。


今はだいぶ環境改善されたが、10年ほど前まではゼネコン各社は悪びれもせず、ブラックな環境を変えようとしなかった。


それが改善される流れになったのは、ブラックな環境を知った若い人達が建設業界に入るのを嫌って人材の確保が難しくなってきたから、という何ともおそまつな理由なのだからあきれる。


結局、環境改善の動機が不純だから今でも改善内容も不十分であるのが現実だ。


ましてや10年以上前の現場監督の環境など推して知るべしである。


そんな環境に自分は合わない、このままではダメだと判断する人はさっさと退職するが、中には退職したら、どうなってしまうか分からないという不安感からやめられないという人も一定数いる。


そういう人は結局、病気になるなど不幸になる。


今回は、私がみた自分に無理して現場監督を続けた人の末路を3例紹介する。



建築担当の私の同期

同期Aは当時27歳だった。


建築社員としてマンションの現場の一番若手だった。


しかし所長を含め上司二人が無能だったために、Aの仕事量は想像を超えたものだった。


私は設備担当としてその現場を含め数現場兼務していたが、マンション現場の経験が多かったので、Aになるべく負担がかからないように、定例会議などでは私が仕切るようにしていた。


躯体工事は何とかこなしたが、仕上げ工事になるとさすがにさばききれず、会社からAの5歳ほど年上の先輩が応援にやってきた。


この先輩が非常に優秀で、Aもやっと膨大な仕事量から解放されたのだが、気が緩んでしまったのか、それとも安心したのか、しばらくすると現場にでてこなくなってしまった。


数日たっても連絡がつかないことから、Aと同じ独身寮に住んでいた私に所長から部屋を訪ねるように言われた。


私は、昼休みに寮の管理人さんと一緒に部屋にいくと鍵もかかっておらず「笑っていいとも」を見ていたAと目が合い、気まずい空気が流れた。


状況を軽く聞いて、その後は世間話だけして帰り所長に報告した。


数日後Aは現場に復帰したが、その後はいつの間にか退職してしまい実家に帰ったとのウワサを聞いた。


私にとって、一度潰れてしまうと復帰が難しく、潰れる前にいかに対処することが大切であるとはじめて知った出来事だった。



契約社員の上司にいじめられた若手社員

私がゼネコンに再転職する時、その会社で契約社員のパワハラ上司に潰された26歳のBがいる。


契約社員に正社員の若手がやられるというなかなかないパターンだが、私が入社した時にはBは潰れた後で、すでに会社を休んでおり、産業医の指導の下、定期的に心療内科に通っている状況だった。


パワハラ契約社員の方は、私が入社すると1か月の引継ぎ後、他支店に異動していった。

部長がその契約社員とBがどのような様子だったのか教えてくれた。


Bが担当する現場の上司として契約社員がついていたらしいが、会社に戻ると自分の机の横に立たせて罵倒することが何度もあったそうだ。


「なんで終わってないんだ」「そんなこともしらないのか」というように。


部長がたしなめてもその状況は変わらず、ついにBは休むようになってしまったらしい。


そしてその契約社員は部長とウマが合わず、私の入社を期に転勤することになったようだ。

数か月後、Bは職場に復帰して私の部下となった。


はじめは腫物に触るように対応せざるを得ず、見積の査定方法を教えてさせてみたり、逆にCADの使い方をわざと教わったりしながらコミュニケーションを深めていった。


時には食事をごちそうしたり、車の長時間移動時に運転しながらいろいろな話をしたりした。


そしてようやく一人で現場を担当できるようになり、私の手から離れた。


しかし、今は少し調子にのっているらしい。


そういう不真面目な性格も契約社員のパワハラを生んだ一因なのかもしれないが、それは今後のBの課題である。



なんでも自分で行ってしまう上司についた若手社員

若手の有望株Cがいる。


彼は27歳。


彼の上についた上司は非常にまじめで優秀な人物だ。


そしてなんでも自分でやらなければ気がすまない性格で夜遅くまで残業し細かいところまで徹底的に仕事をする。


そんな上司の下についたCは現場で何も任せてもらえず、上司は遅くまで仕事をしているのに自分はやることがない。


毎日何をすればいいのか分からず、上司が苦労しているのに、自分は何も役にたててない気まずさからか、ついにその上司と顔を合わせることが怖くなってしまった。


結局、その上司は、自分の仕事はできるが、部下を育てるスキルがなかったのだろう。


Cは心療内科に通った末、他支店に転勤することにより、なんとか職場に復帰することができた。


彼がよい上司に巡り合うことを祈るばかりだ。



3例に共通しているのは、潰れてしまう前に周りに相談できなかったこと、そして潰れてしまう前に周りが助けてあげられなかったことだ。


ましてや上司自身がストレスの原因になっている場合、第三者が気づけなければ事前に防ぐことは非常にむずかしい。


会社は社員を護るために全力を尽くさねばならないが、社員本人が会社の助けを期待するのは危険である。


会社が助けられなかった場合のことを考えるとやはり自分の身は自分で護らねばならない。


自分の限界が近いと感じた時は、誰かに相談する、場合によっては会社をやめることも自分を護るためには大事な選択肢であり、常に自分の状況は把握する必要があるだろう。






 

この記事はこの人が書いています。


施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。


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