2022.01.01
日本社会には長期連休が3回ある。
言わずと知れたゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始である。
最近は秋にシルバーウィークというものもあるが建築現場の人はその存在すら知らない人がいるかもしれない。
それくらい建築現場は休まない。
正確にいうと突貫工事現場は休まない。
更には突貫工事現場の竣工間際において休日というワードは禁句ですらある。
昨今の建築現場全般はだいぶマシになったが、突貫工事現場の竣工間際は相変わらずである。
日給月給の職人さんにとってはいいのであろうか、それとも連休くらい休みたいと思う方もおられるのだろうか。
そもそもほぼすべての建築現場は土曜日、祝日は普通に仕事しており、日曜日だけが休日だ。
そこからすでに世間とズレがある。
いずれにしても今回はブラックで名高い建築現場の突貫工事現場の竣工間際における長期連休事情をお伝えする。
ゴールデンウィーク
ゴールデンウィークはその年によっても異なるが最近は5連休から10連休というのが一般的な感覚であろうか。
突貫工事現場の常識はせいぜい3連休程度である。
私は新入社員の時いきなりその突貫現場に配属になった。
3月まで学生だった私にとって社会人になってそして初めて一人暮らしをして2カ月足らずである。
頭や体が学生仕様でまだ社会人の心身になっていなかった私にとってゴールデンウィークに実家に帰省することが心のよりどころであった。
その私に所長から無常の言葉が。
「お前は新入社員だから特別に3日間休んでいいよ」
少なくとも5日は休めると思っていた私にとってはショックだった。
結局、帰省に片道6時間かかった私の実家での滞在期間は1日半だった。
突貫工事現場にとってゴールデンウィークは通常運転、日曜日だけ休日、もしくは土曜日、日曜日の2日休日といったところだ。
ただし、東北や北陸などで米どころの地域はゴールデンウィークが田植えの時期になるので現場が動いていても職人さんは実家の田植えの手伝いで来ないという地域事情がある。
お盆やすみ
お盆休みはゴールデンウィークよりはましだ。
とはいえ、いいところ8月13日から15日の3日間休日程度だ。
土日とうまくバラければいいが、土日にかぶってしまうと3連休に終わる。
突貫工事現場においては15日だけ休み、もしくは土曜日、日曜日だけ休みとなる。
突貫現場にとっては地獄の釜があこうがあくまいが関係ない。
ナスもきゅうりもご先祖様もビックリだ。
年末年始くらいは休もうぜ
人間、年末年始くらいは自宅でゆっくり休みたいものだ。
しかし突貫工事現場にとっては年末年始すら容赦ない。
元日だけ休みという現場も珍しくはない。
さすがに元日も稼働するという現場はなかなかないようだ。
第一せっかく現場を開けても、職人さんが来なくて閉店休業になってしまう。
年末年始は長期連休のなかで最も職人さんが集まりにくい。
改修工事はさらに大変
以上は新築工事の突貫現場における長期連休事情であるが、実は改修工事は更に大変だ。
普段は発注者の会社が仕事をしているので工事ができない為、むしろ休みを狙って工事を行うことになる。
さらに過酷になると連休中に工事を行い、消防検査、建築検査を受け、連休明けから発注者が使用する、などということすらある。
私が経験した事務所ビルの空調改修工事などはテナント内の工事を毎週金曜日の夜からはじめ、月曜日の朝までに工事を終えるという地獄の60時間ルーティーンを2年間行った。
そのような場合、長期連休は工事の進捗を進める絶好のチャンスになる。
普段の土日をフル稼働で工事を行うのに加え、長期連休も最低限の休みとなることは言うまでもない。
またある工場においては工場が稼働しないお盆やすみ中の一週間に敷地内の建物を建て、設備、電気の切り替え工事を行い、消防検査、建築検査を受検するというムチャをした事がある。
無事に検査済証がおりたからよかったが、上記の2例はいずれも失敗して完成が遅れるような事があれば営業補償問題になるかもしれないという、決して失敗がゆるされない綱渡りのような毎日だった。
改修工事は新築工事に増して大変なのである。
ここまで言うと、建設業界は過酷すぎると語弊を与えかねないので、普通の現場では世間と同じ程度とまではいかないが、それなりに連休を取れると誤解がないように補足させていただこう。
建設業界に入ろうと思っている方に不安だけあおる事がないように。
結論は、人間休める時に休むことが一番大切だということだ。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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