2021.08.21
私が新入社員の頃、先輩がある課長について私に言った。
「あの課長の仕事はすごいだろ。でもオレやおまえが将来あの課長より仕事ができるようにならないと会社は発展しないんだぞ。」
今でも忘れられない言葉だ。
仕事が伝承されなければ会社は発展どころか衰退してしまう。
それには社員教育が必要だ。
しかしその時代によってその方法は違うし、教育をする側、される側の意識も違う。
今回は仕事の伝承、社員教育のむずかしさについて述べたい。
上司は教育シロート
今の日本では、「人を教育する」という教育を受けた人はほとんどいない。
教員免許をもっている私でさえ、教育の方法を学んだことと言えば、せいぜい大学での数コマの講義と2週間の教育実習だけだ。
つまり、ほとんどの人が教育する方法を知らないのだ。
だから上司の教育が下手なのは当然であり、場合によっては仕事は自分で見て盗むものだと、教育それ自体を放棄する上司もいるだろう。
もっとも問題なのは、その状態を良くないと思い改善しようとする人が極めて少ないという事だ。
これは企業にとって、危機的状況であり、社員教育システムが充実している大企業に対し、特に中小企業にこの傾向がある。
コミュニケーション下手
コミュニケーションべたの例を一つあげよう。
部下が机で仕事をしていると突然背後から近づき肩をもみはじめる上司、しかもかなり強めに。
「おお、だいぶ肩こってるなぁ」
おそらく上司なりに考えてコミュニケーションをとろうとした結果なのだろう。
この時の部下の声
「そうですねぇ」
そして、心の声
「二つの意味で痛えなぁ。どういうリアクションを求めているんだよこれ、うぜぇ。」
そして二人の間をながれる微妙な空気。
ちなみに心の声は以前、私がされた時の声。
このような事をされている人を何度も目撃をした。
どうやら肩もみはコミュニケーションの(間違った)王道らしい。
指示下手
上司にピット内のチェックを指示された新人。
事務所に帰ってきた新人と上司のやりとり。
「ピットのチェックは終わったか?」
「終わりました。」
「連通管の納まりは確認したか?」
「・・・してません」
「おまえは何をもって終わったと言ったんだ?」
「すみません」
このやりとりは一見、新人のチェック不足のようにも感じるが、少し考えれば上司の指示不足である事は明白である。
上司の頭の中ではピットのチェックと言えば何と何をする事だと分かっているのだろうが、新人にとって何をチェックすればいいか分かるはずもない。
実は、上記の二つの例は同じ部下と上司のやりとりである(肩もみの心の声は私だが)。
結局この部下は、後日退社してしまった。
有望な新人を失う事は、会社にとっても大きな損失である。
残念な事だ。
教育がうまい人の特徴
私が今まで会ってきた上司の中で、部下の教育がうまい人の特徴は以下だ。
①教える事が好き
②部下の気持ちを分かろうとしている
③どのように教育すれば分かりやすいかについて悩む
④教える側の人が仕事をできるかとはほぼ無関係
①は部下に教育する事が苦にならないという事だ。
とても大切な要素である。
②はこう言うと部下はどのように感じるかを考えるという事だ。
これが分かれば、部下もついてくるようになる。
③は教育の手順を長期、短期で考えている。
行き当たりばったりより、技術力取得の効率があがるのは自明である。
そして④は実は教育をする側、つまり上司が仕事をできるかどうかはあまり関係がない。
むしろ仕事ができる人は仕事ができない部下に対し、なぜできないかが理解できない。
仕事ができない人が教えるのもどうかと思うが、出来すぎる人もあまりよくないという事だ。
社員教育の意味
社員教育とは、5年後10年後の会社の力を決める大切な事業だ。
つまり、将来の会社に責任を持つ人は必然と社員教育の重要性を理解している。
大企業であっても、中小企業であってもそれは同じである。
ほぼ、全員が教育の素人であることを理解しつつ、持続可能な社員教育方法を確立する事は企業の最重要課題と言ってよいだろう。
将来の自社の姿を知ろうと思うなら、現在の自社の社員教育方法を見れば分かる。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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