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  • 執筆者の写真アルノ

建設業に就職する人、工事現場は未だに過酷だよ

更新日:2021年3月27日

2021.02.20

昨今は建設業においてもICT、IoT、AI、DX等が叫ばれ、それらを利用した道具が普及してきているが、少なくとも建築現場において建物は今でも、大工さん、鉄筋屋さん、鳶さん、設備屋さん、電気屋さん等が手作りで作っている点は変わりない。


建設業全体として国土交通省主導で新規建設業労働者を取り込もうと必死なので、建設業のいい所アピールがよく聞こえてくるが、その声だけを信用して建設業界に入った若者が、いざ働いてみたら「こんなはずではなかった」となったら不幸である。


まるでお互いをよく知らず、スピード婚をした夫婦のように。


そのような事がなるべく起こらないように現状の建設業、特に「土木」ではなく建物を建てる「建築」のいい点、悪い点、そして改善してきた点について述べて参りたい。



建築現場における職人さんと監督さんの割合

建築現場には大きく分けて実際に作業をする大工さんや鳶さんのような職人さんと、工事全体を管理するゼネコンや設備工事、電気工事を管理するサブコンのような監督さんがいる。


それらの人数の割合は、例えば工事金額10億円(マンションでいうと40戸程度)くらいの現場だと最盛期に100人程度の職人さんが工事現場にくる。


それに対しゼネコンの社員は5人程度だ。


工事金額100億円(マンションでいうと300戸程度)くらいの現場だと最盛期に職人さんが200人超集まる。


それに対しゼネコンの社員は事務や外注の図面屋さん等を入れて20程度だろうか。


設備、電気のサブコン監督さんを合わせるとゼネコンと同程度になるので、職人さんに対する監督さんの割合は1割~2割といったところだろうか。


それぞれ職人さんと監督さんでは仕事の内容が事なるので、良い点、悪い点が異なる事もある。



建設業の良い点

良い点における代表的な事は、職人さん、監督さんともに建物を建てた時の達成感だ。


これだけは得も言われぬ歓喜と感動がある。


その感情の大きさは、建築に携わる全ての人はこのために働いているのではないかと思えるほどだ。



職人さんの良い点は基本的には17時に仕事が終わる事だろう。


8時に作業が始まって、お昼の1時間休憩の他に10時と15時にもコーヒータイムがある。


当然、時には残業もあるが、定時に終わる事が多いので人間らしい生活ができる。


雨になったら仕事ができない場合があるので休みになるのは、いい点といえるかもしれない(その分給料が下がるが)。


ちなみにこれは良い点ではないが、建築現場の休みは日曜日だけで、祝日や土曜日は普通に仕事をする。



現場監督の良い点のひとつは、扱う金額が大きいという点だ。


何億、何十億、時には何百億という金額を扱う緊張と責任感、そしてやりがいは大変なものだ。


たまに大きい金額を扱い、えらくなったと勘違いするヤカラもいるが、そういう人には決してなってはならない。



建設業の悪い点

職人さんにとって、建築現場の悪い点は何といっても現場が過酷であるという点だ。


夏の現場は灼熱地獄。


暑すぎて鉄筋でヤケドするほどだし、狭い場所での作業をするのでイライラマックスだ。


その分、休憩時間にポカリがこれほどうまい飲み物かと感動する至高の瞬間だ。


冬の現場は、極寒地獄。


寒い冬に外気にさらされながら仕事をする事になる。


足先が冷えてとても耐えられるものではない。


その為に何重にも靴下をはいたり足先にカイロを入れたりするが、何をしても時間がたつと芯から冷えている。


その分、冬の現場から帰った自宅の湯船は昇天しそうになるほど至福の時だ。



ちなみに現場監督はまだましだ。


現場で工事管理する時は職人さん達と同じ環境だが事務仕事をする時は冷暖房の効いた現場事務所内で作業をする。


チキンな監督は真夏、真冬になるとなかなか現場に出てこず、職人さん達からブーイングを受ける。



職人さんにとって現場監督は偉そうな存在だ。


年下の若い監督に作業を指示されるし、ゼネコンからお金をもらって仕事をしている事もあり、強く反発するわけにもいかない。


時には、監督の段取りが悪いしわ寄せを平気で職人さんに押し付けてくる。


いい監督さん、悪い監督さん、どちらに担当されるかは運しだいだから恐怖だ。



監督さんにとって職人さんはやっかいな存在だ。


なにせ工事現場の職人さんはクセが強い。


仕事を頼んでもやってくれない事も多々ある。


特に自分の段取りの悪さが原因で手直しを頼む時はビビりながらお願いするハメになる。



そして監督さんの勤務は過酷そのものだ。


職人さんのように体を酷使した作業はしないが、職人さんが仕事をしている17時までは現場管理をして、その後、夜遅くまで書類仕事や次の日の工事の段取りをしなくてはならない。


あまりにも過酷すぎて精神を病んで会社をやめる人も少なくない。



給料体系についてはおおよそ職人さんが日給月給、監督さんが月給だ。


日給月給とは働いた日数分をひと月まとめて支払うというもの。


その為、雨で作業ができないと、次の給料でその分、給料が減ってしまう。


月給はいわゆるサラリーマンの体系だ。


こちらは、雨が降って作業ができなくても給料が減る事はない。


もっとも監督さんは書類仕事がたくさんあるので雨が降っても休みにはならないが。



最近改善してきた点

良い点に比べ、悪い点を2倍述べてしまったが、働き方改革のおかげで悪い点でも改善してきている点がいくつかある。


一番大きい事は待遇面だ。


工事現場において週休二日制を進める方向になってきている。


しかしながら土曜日が休みになると、サラリーマンである監督さんはよいが、日給月給の職人さんはその分給料が減ってしまうのでなかなかむずかしい。


更に職人さんの社会保障制度がすすんできている。


ある程度の規模のゼネコンになると、社会保険制度に入っていない会社とは取引しないようになってきている。


がこちらも、会社に負担がかかり経営に影響してしまうので、小さい会社に所属する職人さんの社会保障がなかなか進んでいないばかりか、社会保険に入らないと仕事も減ってしまうというジレンマがある。




以上、建設業の実情をルル述べてきたが、分かってほしいのは、どんな仕事も大変じゃない仕事はないという事。


建設業は大変な分、やりがいは他の業界に比べ大きいという自負は誰もが持っている。


自分の得手不得手、適正を見極めた上で、ぜひ建設業にきてほしいと思う現場監督としての私の思いである。





 

この記事はこの人が書いています。


施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。


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