2020.09.05
工事現場の責任者を現場所長または作業所長と呼ぶ。
現場のゼネコンの全責任を負う役職だ。その下に現場監督としてゼネコン社員等が部下として現場を管理するわけだ。
私が現場監督として現場で長年働いて抱いた現場所長のイメージはひょっとしたら一般のイメージと違うかもしれない。
私がいだく現場所長のイメージをご紹介しよう。
現場所長といってもいろいろ
ゼネコンの規模にもよると思うが、現場所長と言ってもいろいろだ。
1億円程度請負金額の現場所長は、一人現場と言って、部下が誰もおらず、所長一人で現場を納める事になり、主に若手の新米所長がなるといった感じだ。
対して、100億円を超えるような大現場の所長は大所長と言われ、時には支店の言う事も突っぱねるような権威もあり年配のベテラン所長が多い。
今、私が担当している現場の所長は120億円の現場を48歳の若さで行っているが、ウチの会社では相当まれなケースで非常に優秀である証だろう。
現場所長の仕事内容
現場所長はその現場の責任者だ。
具体的に何に責任を持つかというと、設計図に記載されている品質を確保した建物を建てる事(品質管理)、会社が定めた予算内で建物を完成させる事(原価管理、)、決められた期日までに建物を完成させる事(工程管理)、職人さんが安全に仕事をできるようにする事(安全管理)、大まかにくくるとこの4点に集約できる。
最近では地球にやさしく建物を建てるという環境管理も求められている。
請負金額1億円の現場所長の場合
一人現場の所長は大変だ。
全て自分でやらねばならない。
すべてとは何かというと、すべてだ。
朝は朝礼の準備からはじまり、現場を管理し、工程表を作成し、下請け会社と契約を行い、施主や設計事務所と打ち合わせを行い、施工計画書を作り、施工図を作成し、工事写真を撮り、時には現場の片付け清掃、墨出しまで行わねばならない。
まさに寝る間もない忙しさだ。
請負金額100億円超の現場所長の場合
100億円超の現場所長は忙しさよりも責任の重さとの闘いだ。
その規模になると作業員は数百人になる。
品質も原価も安全も工程もより責任が重くなると同時に権威がある。
ある現場でこのような事があった。
サブコンの現場代理人に
「それウチの所長に言っておいて」
と言ったところ
「アルノさんゼネコンの所長は私達から見たら雲の上の存在なんですよ、うかつに話したりできないです」
との事。
ゼネコンの現場所長とはそれほど権威があるのかと驚いたものだ。
確かに数百人もの職人さんからしてみたら現場所長と話をする機会はほぼないだろうから、そのような感覚になるのだろうか。
また100億円の現場所長という事は100億円を握っているという事だ。
それだけのお金の使い方を任されているという事である。
実際、毎日のように現場事務所には有象無象の飛び込み営業が来るので事務員さんは対応に大変だ。
当然、現場所長のご機嫌をうかがう下請け営業担当者も大勢いる。
良くいる怖い現場所長は
よくいる恫喝するような怖い所長は、得てして請負金額が少額から数十億程度の現場所長がほとんどだ。
恫喝するという事は、恫喝しなければ人が言う事を聞かせられないという事でもある。
しかし、恫喝すると一時は言う事をきくかもしれないが、人は恫喝される事を嫌がり、やがて離れて行ってしまうものだ。
そうなると悪い報告すらもしにくくなる。
大現場では悪い事程、早めに対応しあければ、後の処理が大変になり金額も莫大なものになってしまう。
つまり、悪い報告程、早くしてもらわねばならないのだ。
恫喝する人が大現場の所長を任さえない理由が分かるだろう。
私が思う大現場の所長は威厳があり、普段は物静かな人が多いような気がする。
私のイメージしている現場所長はこのような感じだ。
請負金額によって全く違うというのが正直なところ。
この業界に限る事ではないが、偉大な人ほど謙虚な人が多いとよく言うが、それは現場所長にも言える。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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