どんな突貫工事でもこの世に終わらない現場はない!

2026.10.31
建築現場の工程は、竣工引き渡しの後に、顧客のスケジュールがあるため、のっぴきならない事情がない限りは、1日たりとも遅れることは許されない。
かつては「終わらない現場はない」「1日は24時間ある」などといって、24時間、ゼネコン社員・職人を総動員し、何とか間に合わせる現場もよくあった(今はかなり少なくなったが・・・)。
そんな突貫工事現場に関する苦悩を紹介しよう。
工事の終わりとは
建物は、消防検査、及び建築検査を受検し、それぞれの検査済証が発行されなければ使用することができない。
検査済証があって、はじめてゼネコンから施主へ建物が引き渡されるのだ。
つまり工事を終え、消防検査に合格し、建築検査に合格することが、ゼネコンにとっての至上命題といえる。
もし建物ができていない状態で消防検査を受検しようとすると、所轄消防の検査員は怒って帰ってしまうし、建築検査を行う検査機関の担当者も同様だ。
当然だが、建物が完成していないと、検査は受けられないということだ。
終わらない場合のリスク
決められた日に工事が終わらず、引き渡しができなかった場合はどうなるだろうか。
ショッピングセンターを例にとって考えてみよう。
仮に施主がショッピングセンターの利益を1日当たり1,000万円見込んでいたとしよう。
工期が1カ月遅れたならば、単純計算で1,000万円×30日で3億円の営業補償をゼネコンがしなければならなくなる。
1日遅れるごとに1,000万円の損失が発生する。
そうならない為に、ゼネコンは何が何でも工期を守るという訳だ。
ある現場の消防検査前夜
先輩に聞いた昭和のある現場では、消防検査の前日の時点で外壁の塗装工事が一部終わらず仮設足場が残っていたという。
足場があるということは、工事中ということになり、消防の検査員が怒って帰ってしまう恐れがある。
その晩、夜間工事で足場を解体し、足場がなければ作業ができない箇所の最後の塗装箇所は高所作業車を使って朝までになんとか終わらせた。
次の日の消防検査では、塗りたてで触れない場所が何カ所もあり、検査員にペンキが付いてしまったそうだ。
このような例はまだかわいい方で、ここには書けないような内容がいくつもある。
突貫工事の終盤戦は、まさに戦場だ。
私が担当した綱渡り現場
私が最近担当した突貫現場を紹介しよう。
稼働している工場で、増改修工事を行ったのだが、その工程がぶっ飛んでいる。
工場を停止できる期間、つまり停電できる期間が5日間。
その間に、電気の切り替え工事を終え、消防検査を受け検査済証を受領せねば、工場が再稼働できないというものだ。
1日たりとも余裕はない状況で、工事の段取りをミスったらアウト。
工事中に追加で必要な機器や材料があったらお盆期間中でメーカーが休みの為アウト。
検査で指摘をうけ、是正報告が次の日になったら検査済証の発行が1日遅れるのでアウト。
今思い返しても、とんでもない工事だ!
真夏の暑い期間に、人が休んでいる時に、神経をすり減らした5日間だった。
何とか予定通りの工程で進めることができ、検査済証も予定通り発行されたので事なきを得たが、もし工場の稼働が1日でも遅れ、営業補償という話にでもなっていたらと思うと背筋が凍る思いだ。
はっきりいって、こんな工事は二度とやりたくない。
無理やり終わらせた現場の末路
尚、突貫工事で無理やり終わらせるとどうなるか。
検査済証がおりて、形式上は施主に建物を引き渡されるが、本来工事中にやるべき機器の試運転や調整が十分に行われないことになる。
するとどうなるか。
引き渡し後、特に設備、電気関係の不具合が多発する。
建築も雨漏りなどの不具合が少なからず出てくる。
それらの不具合も一つや二つではない、何十、何百とでてくる。
無理をすればどこかに歪かで生じるのはこの世の摂理なのだ。
突貫工事は工事予算の面でも終盤に職人の応援を集めてくる関係で、出費も大きくなる。
多くの突貫工事現場は大赤字だ。
終わらない現場はないのかもしれないが、突貫工事においては誰も幸せにはならない。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。





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