2024.11.23
建設業界にはあらゆる差別意識がある。
「ゼネコンは偉い」「設備電気工事会社は下」「女性は腫物にさわるように」等々だ。
そのような意識は昔のことで最近はない、という人も多くいるが、それは自分が当事者でないから感じないだけで、差別される方は今でもヒシヒシと感じている。
では具体的にどのような差別意識があるのだろうか。
差別を受けた事例ではなく、差別意識をもっているという事例を挙げていこう。
ゼネコンは偉いという意識
ゼネコン社員と協力会社の職長や職人さんでは、そこに上下関係が当然のようにある。
若手現場監督とベテランの職長だとあまりないかもしれないが、それでも一定の上下関係はある。
ヒエラルキーなのだから仕方ないのかもしれないが、それを勘違いして笠にかける輩がいるから困ったものだ。
また、ゼネコンの現場事務所では「あの会社に〇〇させろ!」だの「営業に言ってダメなら社長に言え!」などという言葉は当然のように飛び交っているのが現状だ。
これで偉いと思ってないとは言えないだろう。
建築会社の設備会社に対する差別意識
ある建築系座談会でゼネコンの所長が「私は建築と設備が一緒に動かないと建物として成り立たないと認識している」と言っていた。
いかにも私は設備会社に差別意識を持ってないよ、といいたげな言動だが、そう思う事自体が建築と設備を建て分けて考えているといえる。
本当に差別意識がないのなら、そのような言葉、意識、発想すらないはずである。
差別は存在するが、私は差別意識をもってないということを、言葉を変えて表現しているにすぎない。
「一緒に動く」とか「壁をなくす」という言葉がなくなるようになってはじめて、差別がなくなったと言えるだろう。
女性に対する意識
上述の設備会社に対する意識と同じようなことが女性に対する意識でもみて取れる。
最近は昔にくらべ、格段に現場に女性が増えてきている。
そのような中で現場内において、業者の垣根をこえて女性でチームをつくりパトロールなどをする、などという女性が集まってなにかをすることが増えている。
当の女性の立場からすると、そもそも女性でくくること自体が、女性を特別視しているように感じるようだ。
同じようなケースで「建設小町」「ドボジョ」とかいう言葉に違和感をもっている女性も多いようだ。
本来、そのようなくくりがなく女性が当然のよう仕事をする事が理想の姿なのだろう。
一人の技術者として男女の意識の隔てなく仕事をする事を望む女性が多くいるのだ。
女性がもつソフトパワー
これは私の具体的な体験だが、ある現場で女性の現場監督が泥にまみれて現場の片付けを行っていると、その姿をみて男性作業員たちが手伝い始めた。
おそらく、男性の私が片付けをしていても誰も手伝ってくれないだろう。
これは差別ではなく、女性に対する男性の気遣い、いたわりの心ということなのか、男女を区別するわけでなく本来、女性のもつソフトパワーということなのだろうか。
その評価は賛否あるに違いない。
差別意識は、建設業界に関わらずあらゆる業界にあるのかもしれない。
いじめやハラスメントと同じく、それはしている方や無関係の人は感じられない。
されている人が敏感に、時に過剰に感じとるものだ。
社会や業界がそれを良しとせず、一歩一歩克服する努力にこそ改善の道が開ける。
それには一人一人の当事者意識が必要だ。
建設業界もそうなっていってほしい。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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