2024.08.10
少子化の時代になり、企業の人材獲得競争が熾烈をきわめている。
新入社員獲得に力を入れるあまり、初任給を上げすぎて先輩社員と給料が逆転するほどだ。
私も今の新入社員世代に生まれたかったと少し思ったりしている。
ともあれ企業は今行われているような短期的な人材獲得ではなく、長期的な人材獲得戦略が必要だ。
残念ながら多くの企業において、それは行われてこなかった。
私から長期的に人材を獲得する方法について提案したい。
人材の世代間の山、谷
かつて多くの企業において、団塊の世代の社員が大量にいた。
その世代は定年を迎え、シニア採用の世代となり、やがてほぼ全てが引退した。
そのため今、技術の継承に苦心している企業が多くある。
一方、期待されるべきは団塊世代の子供の世代、いわゆる団塊ジュニアの世代だ。
本来なら、この世代の社員も各企業に大量にいてしかるべきなのだが、この世代が就職した時期はバブル崩壊に伴う就職氷河期であった。
結果、多くの企業はこの世代の社員が大量にいるどころか、逆に極端に少ない。
日本社会全体としてもこの世代が就職できず、ニートとなり、結婚できず次の人口の山を作ることに失敗し、そのまま人口減少のきっかけとなってしまった。
当時の村山、橋本、小渕、森、各首相の無策を恨むばかりだ。
就職氷河期世代の悪夢
かくいう私も就職氷河期世代である。
私は理系だったので、文系の人ほど就職難の影響はひどくなかったが、それでもかなり苦労した。
入社後に、人事担当の人と懇談した時の言葉が今でも忘れられない。
「会社の経営が厳しく、新規採用を絞らなくてはならない。面接をしていてぜひ入社してほしいという人材も落とさなければならないのは、断腸の思いである」と。
おそらく多くの会社かこのような思いだったのだろう。
世代の山や谷をつくらない
企業の人材の世代分布は各世代が均等になることが望ましい。
得てして企業は業績がよければ人材を多く求め、業績が悪くなれば人材獲得を絞る。
会社の業績はいい時も悪い時もあろう。
そうであれば経営の状況により、多少の世代間の山はあったとしても、その山を極端にするべきでは決してない。
逆張りの勧め
その上で山の作り方としては、優秀な人材が獲得しやすい時は採用を増やし、獲得しにくい時は採用を控えるといいだろう。
投資の世界には「順張り」「逆張り」と言う言葉がある。
市場全体の流れに沿って投資をするか、それに逆らって投資をするかという話である。
私は企業の新卒採用には逆張りが必要と考えている。
今のような売り手市場の時には、優秀な人材を獲得することが難しいため、採用をある程度控え目にし、就職氷河期やコロナ期のような買い手市場の時には優秀な人材を獲得しやすいため、採用を増やすということだ。
買い手市場の時は、社会全体が経営が厳しい時なので、新卒採用を増やすことは、企業にとってはつらい判断となるだろう。
しかしそこで優秀な人材を多く獲得することは、10年後20年後の業績を上げることに直結することにもなるのだ。
あらたなフィールドを開拓せよ
また、まだ市場が目をつけてないところから人材を獲得することも有効だ。
今は定着してきたが、少し前であれば女性の採用や、外国人の採用がそれだ。
しかし市場が目をつけていないということは、それなりのリスクがあるという裏返しでもあり、そのリスクを回避する施策を併せ持つことが必須となる。
女性採用のリスクは、結婚、出産であり、外国人採用のリスクは、言葉の問題や、素養の問題、帰国の意思があるかどうか等の問題がそれにあたろう。
それぞれ企業が人材を育てても長く勤めてもらえないということは損失につながってしまうからだ。
今であれば、SNSでの採用などは新たな人材獲得の場になりえる可能性があると言えるかもしれない。
優秀な人材を獲得することは、企業にとって最重要課題である。
それを業務の片手間で行うような企業は将来の発展を放棄しているに等しい。
今後、各社が知恵を絞り、しのぎを削って行うことになるだろう。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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