2023.12.02
生成AIを中心としたAIの発展が取りざたされている昨今だが、一方でAIが発展したら人間の仕事が奪われるとか、AIに自我が生まれたら人類が滅ぼされるなどという心配もされている。
この件に関しては、科学者や専門家があらゆる見解をだしているので、私などがとやかくいう問題ではないが、建設業従事者として建設業界がどのようになるかについては思索する価値があると感じる。
今回はそのような理由から、私なりのIoT、AIと建設業界の今後について述べてみたい。
人類の歴史
人類には転換期がいくつかあった。
経済の話をすれば、一番大きな転換期は18世紀末に起こった産業革命であろう。
産業革命で経済は飛躍的に発展し、人間の生活に多大な恩恵をもたらした。
それ以前の世界の人口は、四大文明以来5000年の月日がたっても10億人に満たなかったが、それ以降わずか300年足らずで80億人に達した。
2050年には100億人を突破するだろうとも言われている。
産業革命はそれほどのインパクトがあった。
産業革命以降も電気を用いたあらゆる分野の自動化による生産スピードの加速や、電車や車、飛行機等による物流スピードの加速、インターネットや携帯電話の普及により情報スピードの加速などにより、経済は発展し続けてきた。
職業の変化
時代の変化のたびに人類をとりまく生活や職業は変化し、100年前の職業など現在ではほとんど残っていない。
しかしながら、それにより人類の職業がなくなったかと言えば、決してそのようなことはなく、あくまでも職業が発展、変化したに過ぎないだろう。
飛脚は郵便や運送業となり、大工は建設業へと発展した。
または、職業自体がなくなり新しい職業が誕生したものも数多くある。
電話交換手やエレベーターガールなどはなくなったが、産業の発展によりさまざまな職業が生まれたのは誰もが知っている通りである。
IoT技術AI技術による変化
そして今、世界はIOTとAI技術による変化の時代を迎えている。
前者は、あらゆるものを機械化し、気象や交通、個人の健康状態まであらゆるものがデータ化され、ビッグデータとして一元管理することによる効率化が図られていくだろう。
後者は、コンピューター自体が自ら学ぶことにより、それらのデータ化、効率化が連携して発展を加速させることが予想される。
その両者は、現在のあらゆる職業にとって代わることになるだろう。
建設業界の変化
そしてその流れは当然、建設業界にも押し寄せる。
PC(プレキャスト)化はより一層進むだろうし、危険作業や単純作業ほどIoT化が進むに違いない。
現場監督の仕事もどんどん減っていく。
写真管理、図面作成、図面チェック、品質チェックなどはどんどん自動化され、モックアップなどはすでに3Dを使ったデジタルモックアップが当たり前になってきている。
それは仕事量が減り、効率化され、少ない労力で多くの生産性を確保できることを意味している。
仕事量は減り、生産性が上がり、出来高が上がれば会社の経営状態はよくなり、給料が上がっていくことになるかもしれない。
究極的には人類がほとんど仕事をしなくても食べていけるようになる、といったら言い過ぎだろうか。
しかし、それを期待させるほど少ない労力で大きな効果を得られるというのは、もしかしたら今までの経済の転換と同等かそれ以上のものとなるのではないだろうか。
大切なのは使いこなせるか
また、たとえ建設業界における職業のいくつかがIoTやAIに奪われたとしても、今までの人類の歴史を考えれば、必ずそれらを活用することによる新しい職業ができる。
ではその時に求められるものはなにか。
IoTやAIを使いこなす、高度な知恵、素養、そして倫理観だ。
これがなければ使いこなせないし、悪用もされ、争いが起こってしまう。
結局は、人間それ自体がどのように成長していくか、ということに行きつくということだろう。
IoTにしてもAIにしても職業がなくなる心配をするより、人間が使いこなせるかどうかを問題視するべきである。
産業革命以来、変革ごとに社会の発展に伴う、光の部分と闇の部分が発生していた。
光の部分である変革による恩恵を広げ、闇の部分をいかに少なくするか、それも含めて人間の知恵がためされていくのではないだろうか。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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