2023.01.21
建設業界では、昔よりも良くなったとは言え、いまだにパワハラが横行している。
会社はなかなかその事実を把握することができない。
できたとしても氷山の一角で、すべてを把握することはとても難しい。
これは由々しき事態であり一刻も早く、改善しなければならない問題である。
今回紹介する私が実際に見た、聞いたパワハラ5例は大分昔のものだが、今後起こらないため、起こさせないための過去の自分への自省の意味も含め、述べていきたい。
罵倒する
「こんなこともできないのか!アルノの方がよっぽどマシだぞ!」
私が2年目の時に、6年生の先輩が浴びせられた言葉だ。
その先輩は決して仕事ができる人ではなかったが、全くできないわけではなかった。
しかし先輩の上司も仕事ができなかったため、現場に火がついてしまったのだ。
火がつくとは、つまり決め事が決まってないため、工期内に間に合わない状況になっているということだ。
そこで会社が差し向けた、仕事ができる主任二人。
まず、現場の状況を把握し、何が終わっていて何が終わってないかを整理した。
すると先輩とその上司が受け持っている担当はほぼ終わっていないことが分かった。
先輩と上司をすべての担当から外し、主任二人に振り分け、先輩は誰でもできるようない現場の追廻し作業を行うことになった。
しかし、それすら思うように進められない。
そこで主任から出たのがこの言葉だ。
突然、火のついた現場に送り込まれた主任達の身になると気持ちは分かるが、罵倒は良くない。
しかも面前でだ。
その後もあらゆる面で先輩への罵倒は続いたが、当時の私はただ黙って見守るしかできなかった。
独身寮玄関正座おしおき事件
2年目のある日、深夜に疲れて現場から会社の独身寮に戻ると、暗く広い玄関で目を疑うような光景を目にした。
同期の事務員が先輩事務員に正座をさせられているのである。
玄関に入る前に、なんだか怒声が聞こえるなと思い、恐る恐る扉を開けるとその状況、先輩事務員も私と鉢合い気まずかったのか、怒声が止んだ。
そしてスリッパをはき替え部屋に向かおうとすると再び怒声が聞こえ始めた。
どうやら、仕事でもミスを責めているらしかった。
この時に同期の事務員を助ける勇気がでなかったのは、今でも私にとって痛恨事である。
モノを投げる
後輩から聞いた話だが、その名物所長は気に入らない社員には消しゴムなどのモノをぶつけて呼ぶらしい。
名物所長は暴力所長として有名で、その被害者は数知れず、殴る蹴るは挨拶の内、という恐ろしい所長だ。
しかし最終的には派遣社員に暴力を振るい、派遣会社から訴えられ、会社から自主退社させられて去っていった。
当然である。
仕事が終わりに立たせて説教する
これはパワハラを受けた本人から聞いた話。
派遣社員の上司に若手の正社員が毎日のように立たされて、技術力のなさ、段取りの悪さを細かく指摘され、怒られていたという。
どんなにメンタルが強い人でもこんなことを毎日されたら潰れてしまう。
その若手社員も半年間の休職と一年間の通院を余儀なくされた。
休職中に派遣社員は別の理由で自主退社していったが、周りの人が止めることができなかったのが残念である。
若手正社員は復帰後、私の部下になり、はじめは腫物に触れるように接していたが、今では現場を担当できるまでに成長した。
下請け会社にプレッシャーをかける
パワハラは社内だけとは限らない。
特にゼネコンは、下請け、代理店、メーカー等、ヒエラルキー的に下位となる会社と多く付き合うことになる。
そして、それらの取引会社に対してもパワハラ行為を行う輩がいるのだ。
これは、パワハラをした本人から聞いた話。
メーカーの製品が仕様書通りの動きをしなかったとのこと。
そのことに怒った社員は、実際の動作がどうなっているのか、要望通りの動作をするにはどのような改善策があるのか等を事細かく聞きながら打合せと対策を進めていた。
しかし、なかなか思うような改善が見られない。
ついに罵倒をする事態になった。
そしてメーカーの担当者はそれが原因か、思うような結果がだせないプレッシャーからか、ついに出社ができなくなってしまった。
いかがだろうか。
実はまだまだ事例は存在する。
機会があれば紹介したいとも思うが、それより大切なことは、誰もが安心して一生懸命働ける業界いかねばならないということだ。
まずは、自分の会社、自分の周りの環境から
進めるよう強く決意したい。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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