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  • アルノ

大現場所長とお金、権力の誘惑

2022.11.26

大現場の現場所長は偉そう。


そう思っている人は少なくない。


ハウスメーカーの方や、主に1億2億の現場を担当される方からするとそんなことはない、と思われるかもしれないが実際に偉そうと思っている人は多い。


50億の現場でのサブコン現場代理人の言葉が今も印象にのこっている。


私が、金額が大きく関連する変更内容をサブコン現場代理人と監理者と協議した後、現場をすぐに離れなければならなかった私は、サブコン現場代理人に今の内容を所長に伝えるようお願いした。


すると彼は「アルノさん、我々サブコンにとって所長は雲の上の存在で、おいそれと話しかけられないんですよ」と言った。


たしかに同じ社内であっても自分が新入社員で配属された80億の現場では、所長に話しかける時に勇気を振り絞った記憶がある。


現場所長とはそういう存在らしい。


そしてやっかいなことに、現場所長自身もそのように自覚している人が多い。


しかしながら、謙虚な人もなかにはおり、そして偉大な所長ほど謙虚だ。


両者の違いは何か。


私が思う現場所長像を述べてみたい。



現場所長と莫大な工事金額

50億、100億の現場所長が扱う金額とはどれくらいあるのだろうか。


会社によっては本社支店が主導で下請け会社に工事を発注する場合もあるだろうし、その割合も各社さまざまだろう。


工事金額の全額を現場所長が扱うわけではないが、予算の全責任は担っている。


そして実際に自分で扱える金額も数億~数十億であることには間違いないだろう。


当然ながら普通に生活していたら、お目にかかれない金額だ。


企業の社長でもそのような金額を扱うのは相当大きな会社となる。


日本に400万社あると言われる企業の内、売上100億円以上の企業は3000社に満たないようだ。


そう考えるととてつもない金額に思えてくる。


そしてお金を握ると人間どうなるか。


中には金銭感覚が狂う人がいるのも当然だ。


そのようなお金の誘惑と戦わなければならないのが現場所長なのだ。



下請け会社との関係

大きな現場だと、直接取引をする下請け会社が数十社になる。


それら下請け会社の営業担当は所長に対しどのような態度をとるか。


ほぼ全員が以下のようになる。


・へりくだる

・もち上げる

・お土産を持ってくる

・接待に誘う


これでいい気分にならない人はいないだろう。


現場所長が自分は偉い、力を持っていると勘違いするのも無理はない。


そのようなお金の誘惑だけでなく、権力の誘惑と戦わなければならないのも現場所長だ。



部下との重責度合の違い

一方、現場所長には高品質な建物を、工期通りに、予算内で、近隣や環境などの社会的責任を果たしながら、そして何よりも安全に納めなければならないという重大な責務がある。


そのプレッシャーは所長にしか分からないだろう。


自分の部下達は一生懸命がんばっているが、自分の重責に比べれば気楽でいいなと思うかもしれない。


そんな部下が仕事を失敗したら「自分に比べたら大した仕事でもないのに、何でこんなこともできないんだ」と高圧的な態度をとりたくなるかもしれない。


現場所長は責任を果たさなければならない脅迫観念にさらされる一方、パワハラの衝動とも戦わなければならないのだ。



勘違い

自分は偉いと勘違いする。


自分が握っているお金に群がって下請け会社がご機嫌を取りにくる。


部下も自分の支配下にある。


自分が尊大な態度をとっても誰も何も言わない。


そのような中で働いているとどうなるか。


勘違いしない方がおかしいのかもしれない。


それらの誘惑や脅迫の中で、自制心を保てるのはよっぽど意志が強く、人格が形成されている人にしかできまい。


そしてそのような人は限られるだろう。



権力と実力

人間の力には人や組織から与えられる「権力」と、本来の自分が持っている「実力」という二種類がある。


権力の「権」とは「仮の」という意味がある。


つまり権力とは、自分の力ではなく時限的に誰かから与えられた仮の力なのだ。


それを自分の力と勘違いしている現場所長の何と多いことか。


彼らは引退し、会社をやめた後、なんの後ろ盾もなくなった時も所長時代の態度を改めることができず、家族や近所の人から後ろ指をさされる老後を送る人も多いに違いない。


我々は仮の力である「権力」に固執せず、本当の力「実力」を身につける努力をしつづけなければならないと感じる。



以上、今回は大現場の現場所長という特殊な立場の人を検証してみた。


小さい現場は所長自ら職人さんと親しくなりスムーズな現場運営をすることがある。


しかし、大きな現場ではそれにも限界がある。


職人さんが100人以上になる現場においては、中規模の会社にも匹敵するマネジメントが必要だ。


ゼネコン各社はその能力を持つ人材を何十人、何百人と育てなければならない。


会社に取ってそれは不可能に近いミッションだ。


その結果、このような所長が生まれてしまうという側面も大きいのかもしれない。






 

この記事はこの人が書いています。


施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。


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