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執筆者の写真アルノ

若い方に知ってほしい、現場監督は自分の将来をこう考えている

2022.10.22

一般的に現場監督はハードな仕事だと言われている。


一方、ゼネコンやサブコンの知名度のある会社だと、よっぽど建設業界のことを知らない人でない限り、しっかりした仕事だと思われているようだ。


私も実際、自己紹介や雑談の中で会社名を聞かれ答えると「有名な会社ですね」「すごいですね」とポジティブな反応が返ってくることが多い。


では、当の本人達は自分の仕事や将来のことをどう思っているのだろうか。


人によって違うだろうが、私はこうだったというもの、同僚や先輩、サブコンの現場監督などはこう思っていた、というものをご紹介する。



新入社員の時(1年目22歳)

新入社員の時は、ひたすら必死。


特に私が配属された突貫現場は、土曜祝日は出勤、日曜もたまに出勤するような状況で、夜の帰宅は平均22時半から23時だった。


入社した直後のGWは新人だから特別ということで土日を含め3日間休みをくれた。


まだ、学生気分が残っていたのもあっただろうか、その時の私の思考は


「週休2日と言われて入社したのに休めず、GWも土日を除くと実質休みが1日だけとは、なんと社会人は大変なのだろうか」


という感覚だった。


ただ建設業界に限らず、きっと社会人というのはこういうものなのだろうと思い、必死に仕事を覚えていた。


知識も経験もなく、自分がみんなの役にたっておらず、かえって足手まといであることを理解していたので、ただひたすら仕事を覚えるのに懸命で、将来のことなどは考える時間もなく、とにかく毎日必死だった。


ひとつ覚えているのは、職人さん達が毎日17時に帰っていくのを見て「自分もそんな人間らしい生活がしたい」とうらやましく思ったことくらいだ。



若手社員の時(5年目27歳)

5年目ともなると仕事も一通り覚え、一人前になっている年代。


仕事が楽しくなっている一方、大変さには変わりはない。


いや仕事ができるようになった分、負担も多くなり大変さは増していた。


金曜日の夕方6時から月曜の朝6時までの60時間で改修工事を行うというルーティーンを2年間毎週繰り返していた時など、大変さを通り越して自分が置かれている状況をよく理解できていなかった気がする。


尚、合間に休みを取りながらではあるが、平日昼間もほぼ通常通り仕事をしていた。


まさに地獄のようなシフトだ。


その改修工事をしている時、30歳のサブコンの現場監督がしみじみ言っていた。


「まだ仕事をあと30年間続けなきゃいけないのかよ」


私も激しく同意した。


将来が見えないというより、この地獄から解放されるのはまだまだ先だと絶望したことを覚えている。



中堅社員の時(10年目32歳)

30代は仕事ができるようになり、言い方を変えるとメリハリをつけて休むこともできるようになる、という意味では何かを考え行動するには一番いい時期なのかもしれない。


一方で何も考えなければ、なんとなくフワッと時が過ぎてしまう怖さもある。


仕事に打ち込むことができるし、仕事以外の趣味やボランティアその他の活動やコミュニティに没頭することもできるし、何もしないこともできる、つまり一番自由な時間の使い方ができる時期だ。


この時期は、若手社員の頃のようなあと何年仕事をしなくてはならないというような感覚はなかった。


人生を充実させるかどうかはこの年代次第なのかもしれない。



管理職の時(20年目42歳)

42歳になると役職がついている人も多いことだろう。


そして40歳を超える頃に、将来のことを考えるようになる。


将来というより老後のことなのかもしれない。


60歳という定年が見え始めてきたからだ。


同年代の同僚などの聞いても同じようなことを言っている。


年齢的に40代は働き盛りと思われるだろうし、実際にそうだ。


心身共に一番充実しているし、仕事面でも一番力を発揮する時期だ。


一方、60歳で定年を迎えたとき、自分はどのようになっているのだろう、どのような準備をしておけばいいのだろう、との不安があるという面も間違いなくある。


会社では若手を育てることに注力しながら、自分の将来像をどのように描いて、今、どのような準備をしなければいけないのか明確にしなくてはいけないのに、時ばかりが過ぎていき常に不安にかられている。


若い時には早く定年して自由になりたいと思っておきながら、いざ定年が見てくると不安になるというのだから皮肉なものだ。



以上、現場監督が人生の節々にどのような考えで働いているかを述べてきた。


現場監督というより私だけの感覚なのかもしれないし、逆に他の業界や職種でも同じような考えになるのかもしれない。


人生は常に不安との葛藤と言えるかもしれない。


孔子は「吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」と言っているが比べるとえらい違いだ。


私や私の周りの人の経験、思考が若い方の思索の参考になればと思うばかりである。






 

この記事はこの人が書いています。


施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。


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