2022.07.30
現場で設備や電気に携わる人なら、新築現場竣工間際の試運転調整時に電源が切り替わらない、給水管の水圧が少しだけ下がる、あるいは竣工引き渡し後に回路の電圧が低い、空調温水系統の温度が上がらない等の不具合が発生し、原因を探さなくてはならないといった場面に何回も対応したことがあるのではないだろうか。
私も例にもれず、そのような場面をたくさん経験してきた一人だ。
個人的に大変なのは、どこかで音がする、どこかで臭いがするという騒音関連、臭気関連が原因を探しにくくて苦戦するイメージがある。
そんな私が不具合の原因を探す時に注意しなくてはならない点を述べてみたい。
今後、そのような場面にあったら、是非このブログを思い出し参考にしてほしい。
思い込みたい衝動にかられる
不具合の原因を探すにあたり、まず行うのは考えられる予想できる原因を箇条書きにすることだろう。
予想した原因については、その中に本当の原因があるかもしれないし、その中にないかもしれない。
この予想したなかに本当の原因がないかもしれないというのが大きなポイントである。
次にその予想した原因の内、可能性の高い順に確認をしていくだろう。
そして原因が分かったらそれを改善するよう是正処置を行う。
ここまでが、当然行ってしかるべき一般的な処置だ。
しかし待ってほしい、本当にそれが原因なのだろうか。
それらしいものが見つかり、それが原因と決めつけてはいないだろうか。
得てして少しでも早く是正をしたいと考える我々は、それが原因だと思いたいし、決めつけたい衝動にかられるものだ。
原因はひとつとは限らない
繰り返しになるが、本当にそれが原因なのだろうか。
また、本当にそれだけが原因なのだろうか。
よくある対応として、原因確定し施主にその是正工事の見積書を提出し、工事を行ったが改善されなかったというパターンだ。
この場合、施主の立場としては、お金払って工事したのになぜ改善されないんだということになる。
そこで気を付けたいのは原因が一つとは限らないということだ。
もしかしたら予想していないことが原因かもしれないと考えると、少なくとも考えられる予想した原因についてはすべて確認するべきだ。
不具合の改善について、決めつけ、先入観が一番の敵である。
先入観をもたず客観的視点に立とう
大切なことは、先入観をもたず客観的視点に立って原因は一つとは限らず、予想していないことが原因として隠れているかもしれないという姿勢だ。
施主に是正の見積書を提出する際も「必ず考えられる原因に対する是正の見積ですが、もしかしたら予想できていない原因があるかもしれません」という旨をよく説明し、理解してもらい、その上で是正工事を行うことが大切だ。
具体的な例
よくある簡単な例をあげると、給水管に水圧テストをかけたところ、一時間したら少しだけ水圧がさがった。
そしてその原因となる漏水場所をさがしたところ、洗面器下の給水管がバルブのところで少しだけ漏水している箇所を発見した。
ここを是正したら改善されると思うのではなく、他にも漏水箇所があるかももしれないという意識を持つことが大切であるということだ。
決めつけていれば是正を行い終わってしまうかもしれない。
他にも漏水箇所があるかもしれないと思えば忘れずに、必ずもう一度水圧テストを行うだろう。
私の経験上、ゼネコンとしてサブコンや職人さんと一緒に現場へ不具合の原因探しにいくと、ひとつ原因が見つかるとほぼ間違いなく、それが原因の全てにちがいないという意識になってしまう。
そこを少し立ち止まって冷静に考えることが現場監督の大切な心得である。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工管理技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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