2021.04.10
ゼネコンの仕事は土木工事と建築工事があるのだが、建築工事には現場に常駐する建築担当の他に、あまり現場に来ない設備電気担当がいる。
今回は設備電気担当がどのような存在で、どのような仕事をしているかを紹介しよう。
簡単にいうと監督の監督
建築工事の現場では、数々の下請け会社が協力して建物を建てる。
なかでも、設備工事と電気工事はゼネコンからの発注金額が大きくその分、会社の規模も大きく施工管理体制がしっかりと確立している。
設備工事会社と電気工事会社だけを「ゼネコン」に対して「サブコン」と呼ぶのは、他の下請け会社とこのような違いがあるからだろうか。
ゼネコンの設備電気担当はこのサブコンを管理する事が仕事だ。
サブコンにはそれぞれの現場監督がいるのでその監督を監督するのが設備電気担当というわけだ。
何だか偉そうな存在だ。
複数現場を兼務
設備電気担当は複数の現場を兼務している。
一つの現場に常駐する事はまれでよっぽど大きい現場の時のみだ。
スーパーゼネコンが施工をするような受注金額、数100億円の現場なら常駐する事もあるだろうが、受注金額100億円クラスでも常駐する事は少ないのではないだろうか。
小さい現場だと4現場5現場を兼務する事もあるがそのような場合、各現場で毎週定例会議があると毎日どこかの定例会議に参加しなければならず、定例会議の資料の準備すらままならない。
当然、無理がくるので仕事の割り振りが大変だ。
また、兼務するがゆえにいろいろな所長やいろいろなサブコン担当者と接する機会がある。
立場が上の人に対しても下の人に対してもコミュ力がより必要になる。
打ち合わせが多い
打ち合わせが多いのも特徴でいろいろな立場の人との打ち合わせが頻繁に行われる。
発注者はもちろん、設計監理者、諸官庁担当者、ゼネコン建築担当、サブコン等々。
これだけ毎日の様に打ち合わせをしていれば、打ち合わせの達人になりそうなものだが、不思議な事にいつまでたっても打ち合わせがへたな設備担当者もいる。
質問をすると質問と違う事を話したり、いつまでたっても結論にたどり着かなかったり、打ち合わせ資料が不備だらけだったり。
きっと反省をする、工夫をするという概念がないのだろう。
現場に来ない
設備電気担当はぜんぜん現場に来ない。
そりゃそうだ。
現場を兼務しているし、書類作成や見積書作成などを会社で行うゼネコンもある、なにより移動時間がもったいないから、基本的に用事がなければ現場にはいかない。
週に1回来ればいい方で、週に2回来たら奇跡だ。
そのかわり行った時には次にいつ来られるか分からないから、ものすごい勢いで仕事をこなす。
本当は毎日現場に来て、じっくり現場を見ながら管理がしたいというジレンマの中で働いている人が多い。
幅広い知識が必要
大きい現場だと設備担当、電気担当と別れる場合もあるが、基本的には設備工事も電気工事も一人で担当する。
従って設備、電気はもちろん意匠、構造にいたるまで幅広い知識を求められる。
設備電気担当は建築の納まりが分からなければ仕事にならないのだ。
逆に、建築担当は設備電気を学ぼうとしない人が多い。
設備電気担当とサブコンに任せっきりだ。
前述だが設備工事、電気工事の金額は大きい。
ゼネコンが下請けに発注する金額の内、設備と電気のサブコンに発注する金額はほとんどの場合が一番と二番だ。
しかし、ゼネコン建築担当はその重要性を理解せず、設備電気の知識に乏しい人が多い。
逆に、仕事ができる所長は、その重要性をしっかり理解して設備電気に詳しい人が多い。
そういう意味で、設備電気をよく知り、大切に思っているかどうかは仕事ができる建築担当かどうかの一つの基準になるかもしれない。
建築担当とサブコンの板挟み
実は設備電気担当はつらい立場でもある。
ゼネコン建築担当とサブコン現場監督の板挟みになるからだ。
あまりにも毎回板挟みになる機会が多いので、行くところまで行って各所にコンセンサスを得る能力はピカイチだ。
まぁ、人によるが。
設備電気担当者は必要ない
基本的には設備電気担当はサブコンの味方になって一緒に建築担当に対する事が多いおのだが、会社によっては設備電気担当に傲慢な人が多く、サブコン現場担当者から影で罵倒されている事がある。
設備電気担当に知識が豊富だと「詳しいからって偉そうに、迷惑だ」知識がないと「知りもしないのに偉そうに、少しは働け」という具合だ。
設備電気担当があまりにもひどいと建築担当、サブコン両者から「いらない」と存在価値すら認めてもらえなくなる場合もある。
しかし、もしゼネコン設備担当がいなかったら、建築担当は設備電気に無知な場合が多く軽んじている事が多いから、設備電気に関する問題に対し適切な対応ができない。
基本的にサブコンの技術力に頼り、品質がサブコンの実力次第になってしまい、高い品質を確保する事ができない。
竣工間際などの設備電気工事が忙しいときには、引き渡しからの逆算工程を作成できず、受電日が遅れ試運転調整の期間を確保できない。
結果、調整がうまくできず、引き渡し後に不具合頻発という具合になる。
設備電気担当がいないと現場内の問題で納まらず、施主にも迷惑を掛ける事になりかねないのだ。
以上、ゼネコンの設備電気担当の仕事内容にふれてみた。
設備電気担当はいなくても何とかなるかもしれないけど、いいものができない、いわば調味料ような存在に思えます。
刺身に醤油、うな重に山椒、そばに麺つゆ、いずれもなくてはならない存在です。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
私は、準大手ゼネコンの設備職から内定頂いていているのですが、
ゼネコン設備職に関する情報が
少なく、迷っています。
設備職の残業、休日の情報があれば
教えてほしいです。