2024.06.08
中世以前は職業と言えば、公家、武士、農民、職人、商人等とその種類は限られていた。
今は第一次産業、第二次産業からサービス業に至るまで、あらゆる業界、職業があり、その数は数えきれないほどだ。
産業の数だけでも、農業、林業、漁業、食品製造業、繊維工業、鉄鋼業、金属製品製造業、出版印刷業、通信業、放送業、情報サービス業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、貸金業、保険業、不動産取引業、広告業、宿泊業、医療業等、他にも多数ある。
その中でも、建設業界はあらゆる面で特殊な産業だ。
何が特殊なのか、詳しくみてみよう。
受注産業
建設業は、造船業などと同じように受注産業である。
計画的に生産するのではなく、顧客から受注して初めて生産活動を開始する産業である。
受注金額が大きく、完成に要する時間も1年単位2年単位と長期になることから、インフレの進行が激しい時期には、受注時点での価格では採算が取れなくなるという欠点がある。
また、会社の決算も受注から売上まで期間があることから、受注しても利益が確定するまでタイムラグがあるという特徴がある。
個別産業
受注産業と似たような側面ともいえるが建設業はまた個別産業でもある。
一つ一つを受注してから生産を始め、基本的に全て特注で、同じものはない。
つまり、一般的な商品のように同じものを多く生産してそれを売るというスタイルでないので、効率化を図ることが非常に難しい反面、在庫を持たないという面もある。
そもそも一つの建物は何億円もするので金額的にも在庫を持つのは難しいだろう。
工場のように機械化できることも限られ、スピードや品質において、職人さんの技術力にたよる面が大きい。
移動産業
建設業の仕事場は工事現場である。
工場や店舗、事務所で働く人とは違い、工事現場毎に仕事場が変わる。
ゼネコン現場監督などは、東北の現場から、九州の現場、海外の現場などと異動があるのが基本だ。
1年2年単位で職場を異動するという感覚だ。
その結果、何十年も単身赴任そしているという人も珍しくない。
職人さんなどは、週替わり、日替わりで違う工事現場にいくこともあるので、毎日職場が変わるなどということが頻繁におこる。
屋外産業
建設業界は屋外産業だ。
特に躯体業と言われる業種は、屋外で仕事をするため当然、夏は暑く、冬は寒い。
多少の雨が降っても仕事を行う場合があるし、夏の鉄筋などは触ればやけどをするほどだ。
建屋内で仕事を行う内装業であっても暑い寒いは変わらない。
屋外よりは多少ましだがそれでも過酷な仕事である。
冷暖房がある状況で仕事ができるのは、最後までいる設備屋さん、電気屋さんや美装屋さんくらいだ。
他業種産業
そして一番の特殊性は、他業種産業という点である。
ゼネコンを筆頭に、業種別に数十社が仕事を請け負い、その元でさらに細分化された業種や職人さんに仕事を発注する。
そのため、大きな工事現場だと数百人もの職人さんが毎日集まって仕事を行う。
それも工種ごとに工事期間が異なることからその都度、入れ替わり立ち代わり、会社や人が変わっていく。
そのような、流れるような毎日のなか、まさにチームワークによって建物は出来上がっていくのである。
このような様々な特殊性があることから、他の業界では見られない苦労も多い。
一つ一つの建物が、その苦労の末に完成し、使用する方に安心、安全、快適な空間を提供するのである。
まさに、アセト涙の結晶が形になったものが建物なのである。
この記事はこの人が書いています。
施工管理技士アルノ
1級建築施工管理技士
1級電気工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士
1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。
現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、
2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。
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