アルノ

2023年9月30日5 分

上司は部下に嫌われてナンボでしょ

2023.09.30

上司が部下を評価するように部下も上司を評価している。

信頼できない上司に部下はついていかないし、時には反発すらするだろう。

上司としては、自分の背中で部下の信頼を勝ち取りたいところだが、なかなかそうはいかない場合も多い。

このことは、上司という距離のある存在だけでなく、距離が近い先輩も同じであろう。

今回は、私が最近経験した部下の信頼を勝ち取るために行ったことを紹介し、世の先輩、上司たちの一助としていただきたい。

エピソードその1

ある日、部下が血の気の引いた顔で相談してきた。

まずは落ち着かせて話を聞いてみると、どうやら彼が担当している現場の追加増減の金額が現場の予算に全く納まってないらしく、所長に怒られたらしい。

そこで、施主とゼネコンの契約見積書、ゼネコンとサブコンの契約見積書を用意し、追加工事、減額工事の項目を一項目ずつ整理し、施主に提出する予定の見積書、サブコンから提出された見積書を一覧表にまとめ見比べた。

すると、それぞれ細かい調整は必要なものの、大きい追加工事の一項目が施主に提出する見積に対し、サブコンの見積が異様に高いことが分かった。

そして、その項目がサブコンと適正金額で契約できれば、現場の予算に十分納まることが判明した。

そこで私が、サブコンの見積書の査定をすることを引きうけ、その旨を所長に連絡した。

所長も納得し、部下も安心したのか血の気が戻ってきた。

後日、所長から鬼のような催促をかわしながら、自分の仕事の合間を見て査定をし、サブコンと交渉の上、無事予算内で契約をした。

エピソードその2

ある日、(先ほどとは別の)部下が「打ち合わせいいですか?」と私の席にきてつぶやいた。

普段は、そんなことを言わないのでどうしたのかと思うとその顔色は青ざめていた。

話しを聞くと、現場の仮設電気工事が現場の予算に対して、仮設電気工事会社の見積書の金額が全く納まっておらず、所長にどうにかしろと言われたとのこと。

一通り話を聞いたあと、私は部下に聞いてみた。

「それで、キミはどうすればいいと思う?」

彼は少し考えて「どうすればいいか分からないので助けてください」と言った。

そこで私は彼に、仮設電気工事会社の仮設電気計画案に対し、現場の予算を伝え、予算内で納めるにはどのような計画ができるかを相談して、その案で再見積をもらい査定の上、落としどころの案と金額を決定するようにアドバイスした。

すると彼は元気を取り戻し、さっそく仮設電気屋さんと打ち合わせの上、一緒に現場調査をする約束をしたようだった。

エピソードその3

ある日、竣工した現場で不具合があり、その改善のための打ち合わせにアルノも参加してほしいと部長から依頼があった。

担当現場ではなかったが、渋々了承するとその打ち合わせは(先ほどとは別の)部下が打ち合わせの進行役をしており、部長、サブコン担当者と私の4人が参加していた。

現状を全く知らないので、話を理解するために打ち合わせの様子を黙って聞いていると、どうやら別途工事の太陽光発電と本工事のキュービクルの連動がうまくいっていないとのことだった。

施工当初、試運転を両社立ち合いの下、連動確認試験をするはずだったのが、太陽光発電工事の工期が遅れた為、連動確認試験をキュービクル側だけ模擬信号で行ったようだ。

その後、太陽光会社が実際に連動をかけてみたところうまくいかず、その原因究明と是正を太陽光会社に求められているとのことだった。

部長、サブコンを含め、どうずるかを相談した結果、我々は模擬信号で連動確認をしているのだから、工期が遅れにより立ち合いができなかった太陽光会社が悪いので自社で是正するよう主張する、との意見でまとまりつつあった。

そのまま打ち合わせが終了してしまいそうだったので、私は口をはさみ、まず部下に「キミは、どうすれするべきと考えているのか」と聞いた。

すると「今の打ち合わせの通り、ウチは悪くないと主張するしかないと思います」とのこと。

私は「それで相手は納得すると思うのか?解決に向かうと思うか?」と聞くと「平行線のままだと思います」と力なく言った。

本当は、自分の力で解決させたかったが、私は次の解決策を提案した。

・是正には停電工事が発生するので、停電時に模擬信号試験、実際の連動試験をそれぞれ実施し、双方の主張に間違いがないかを確認する。

・主張に間違いがあった場合は、その方が是正費用を負担する。

・両社の主張に間違いがなかった場合は、その費用を折半する。

最終的に私の案で進めるようになり、部下は解決の糸口が見えたからか元気を取り戻した。

会議の最後に私は部下に「双方納得できる案でなければ解決には向かえない。落としどころを考え抜いた上での解決案をもって会議に臨むようにしてほしい」と伝えた。

緊急時以外は

以上のエピソードはここ半年間で起こった出来事である。

本来は自分で解決策を考えてもらいたいのだが、焦ってそれどころではない場合は、まずは安心させねばならない。

その上で、本人の成長の為に、考えるクセ、自分で解決するクセをつけさせたい。

その意味から、エピソード2及び3ではまず部下の考えを聞いたのだ。

いずれにしても、部下の信頼を勝ち取るには、部下が困った時などに親身になって、共に悩んで解決に向かわしむことだ。

口先だけの言動や行動では部下は決して信頼しないだろう。


この記事はこの人が書いています。

施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。

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