アルノ

2023年2月11日4 分

建設業はブルーカラーだから見下される?

2023.02.11

一般的に建設業界は見下されがちだ。

職人さんや現場監督を指さして、お母さんが子供に「勉強しないとあんな風になるよ」と言われたことはないだろうか。

悲しいかな、それに似たような経験が私はある。

これが現実だ。

なぜ、見下されるのだろうか。

日本社会に巣くう建設業への差別意識を考えてみる。

ブルーカラーとホワイトカラー

日本社会には労働者に対して、ブルーカラー、ホワイトカラーという分類がある。

ブルーカラーと言われる業界は建設業、製造業、運輸業、工業、農林水産業などの生産に携わる仕事。

ホワイトカラーと言われる業界は情報通信業、学術研究、サービス業、医療、福祉など生産に携わらない仕事。

名称に関しては、一説によると昔の工場作業員の襟は青色が多かったので作業着を着る業界がブルーカラー、白色の襟のワイシャツを着る業界がホワイトカラーと言うそうだ。

肉体労働者と頭脳労働者

また、肉体労働者、頭脳労働者という別の分類もある。

おおよそブルーカラーは肉体労働者、ホワイトカラーは頭脳労働者とイコールだが、看護師や介護などはホワイトカラーだが肉体労働者に近い勤務内容という若干のズレがある。

その他のカラー

調べてみるとブルーカラー、ホワイトカラーの他にも色があるそうでグレーカラー(ブルーカラーとホワイトカラーの中間)、グリーンカラー(林業、リサイクル業、自然エネルギー発電事業など、環境に関わる職業)などがあるそうだ。

ブルーカラーとホワイトカラーの間がなぜ水色ではなくグレーなのかは分からないが、ゼネコン現場監督はおそらくグレーカラーに分類されるのだろう。

ちなみに環境に関わる肉体労働者(例えば太陽光発電を設置する電気工事会社等)は青緑カラーとは言わないようだ。

ブルーカラーとホワイトカラーの収入差

次にブルーカラーとホワイトカラーの収入面を比べてみよう。

ある年の代表的なブルーカラー業界の月の平均賃金は以下のようになっている。

建設業平均賃金 330,000円

製造業平均賃金 290,000円

運送業平均賃金 270,000円

また同じ年の代表的なホワイトカラー業界の月平均賃金は以下のようになっている。

情報通信業平均賃金 370,000円

学術研究平均賃金 380,000円

医療、福祉平均賃金290,000円

こう見ると全体的にはホワイトカラーの方が月平均賃金は高いようだ。

ブルーカラーに対する差別

日本社会ではホワイトカラーの職業に比べて、ブルーカラーの職業の方が下にみられてきた。

理由はいくつかある。

希少価値として社会の仕組みを作るのは少数の頭脳労働者、社会の仕組みを支えるのは多数の肉体労働者、肉体労働は頭脳労働に比べて多くの人が行うことができるという面があるだろう。

また、イメージとして頭脳労働者は空調の効いた建物内でのデスクワークであることに対し、肉体労働者は暑さ寒さの中で、土や油にまみれながら行う大変な仕事という面もあるだろう。

前述の収入面の差も大きいだろう。

それらの理由で現在でも日本社会には、ブルーカラーに対する差別意識がある。

建設業界が見下される理由

ブルーカラーと言われる業界の中でも建設業界は、一般の多くの人の目につきやすいという特徴がある。

ビル建設や、道路工事は街中で行われ、お昼になると土まみれの作業着の職人さんんがコンビニで弁当やカップラーメンを買い、駐車場を占領して食べ終わったあとも車内で昼寝をしている。

お昼時に車でコンビニにいこうとしても駐車場が職人さんの車でいっぱいで停められない、という経験は誰にでもあるのではないだろうか。

そのあたりが、一般の人からしたら悪い印象があるのかもしれない。

一方、製造業、工業、農林水産業などは工場内や山奥、港などで働いているのであまり目につかない。

建設業界はブルーカラーの職種の中でも一般の方がイメージしやすいのだろう。

そのような理由で建設業界のイメージは悪いのではないだろうか。

建設業界のイメージが悪いのは、必ずしも給与面だけではない。

業界のイメージアップを図るには全体的なブランディングが必要である。

だが、それは簡単なことではない。

国交省を中心に、不断の努力を続けていかねば、明るい建設業界の未来は永遠にこない。


この記事はこの人が書いています。

施工管理技士アルノ

1級建築施工管理技士

1級電気工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の資格を取得。

現場監督としての体験、施工監視技士試験の勉強法、

2度の転職経験から得た建設業における転職ノウハウを紹介しています。

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